制作会社から「原稿をください」と言われて、3か月止まっている。社長に頼んだら「任せる」と言われ、営業に頼んだら「忙しい」と言われた。自分で書こうとしたが、1ページ目の会社紹介で手が止まった。 この記事は、その状態を動かすためのものです。 必要なのは文章力ではなく段取りです。 書く人を決めるのではなく、聞く相手を決めます。1件30分の聞き取りを何回かやれば、原稿の材料は揃います。

止まる原因は、文章力ではない

原稿の書き方を調べると、「読者を決めろ」「目的を決めろ」「完璧を目指すな」「まず書き切れ」と出てきます。発注者向けに書かれたUXmeの記事は、ページ内容の確認からターゲット設定、見出し、本文、画像準備までの5段階を示しています。

内容として間違っていません。ただ、止まっている人の問題はそこではありません。

止まる理由は3つです。

  1. 書く材料(事実)が、書く人の手元にない
  2. 誰がどこまで書くのかが決まっていない
  3. 締切が入っていない

1番が本質です。総務担当が会社紹介を書けないのは文章が苦手だからではなく、創業の経緯も、現場の加工条件も、自分は知らないからです。知らないことは、どんなに文章が上手くても書けません。

だから、最初にやるのは文章の練習ではありません。誰が何を知っているかの整理です。

誰が何を持っているか

社内の4者で、持っている情報が違います。

社長 ── 方針と経緯。放っておくと創業の話が9割になる

社長が持っているのは、なぜこの事業をやっているか、これから何を増やしたいか、どういう会社と付き合いたいか。方針の部分です。

ただ、会社紹介を自由に書いてもらうと、創業の経緯が9割を占めます。 これは何度も見ました。本人にとっては一番語りたい部分で、読む側にとっては最も優先度が低い部分です。

だから、社長には項目を絞って聞きます。「これから増やしたい仕事は何か」「断っている仕事はどういうものか」。この2つで、方針は取れます。

営業 ── 客に何を聞かれるか。社内用語が出る

営業が持っているのは、客が実際に使う言葉と、よく聞かれる質問です。これは原稿の材料として一番価値があります。

そのまま書いてもらうと、社内用語と型番が並びます。 社内で「治具」と呼んでいるものを客先が「取付台」と言っている、という食い違いも本人は意識していません。

だから、営業には「先月の問い合わせで聞かれたことを10個」だけ挙げてもらいます。文章にはしてもらいません。

現場 ── 材質・寸法・工程・設備。数字はここにしかない

対応範囲の数字は、現場にしかありません。設備の型式、最大加工寸法、公差、標準の納期。総務も社長も正確には知りません。

現場に文章を書いてもらう必要はまったくありません。設備の一覧と数字を出してもらうだけです。 何を聞くかはBtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字の8項目がそのまま使えます。

総務 ── 会社概要、資格、沿革。事実の確認先

総務が持っているのは、登記簿、資格の証書、従業員数、沿革。確認先としての役割です。

つまり、原稿をまとめる担当が総務であっても、総務が書けるのは会社概要のページだけです。それ以外は聞き取って集める役に回ります。

なお、総務に他のページまで書いてもらうと、どの会社にも当てはまる文章になります。知らないことを埋めようとすると、抽象的な言葉しか出てこないからです。これも文章力の問題ではありません。

書かせずに、30分聞く

白紙を渡さないでください。渡した瞬間に止まります。

聞く項目を先に渡す

聞き取りの前日に、質問を3〜5個だけメールで送ります。当日に考えてもらう必要はありません。

> 明日30分お時間をください。次の3つを伺います。> ・今、一番受けたい仕事はどういうものか> ・断っている仕事はどういうものか> ・他社より早くできると思っているのはどこか

項目を5個以上にしないでください。30分で終わらなくなります。

そうは言っても、社長や営業に30分もらうのが一番難しい、と思われるかもしれません。頼み方を変えてください。「原稿を書いてください」だと断られますが、「30分だけ話を聞かせてください。書くのは私がやります」だと通ります。相手の負担が、書く作業から話す作業に変わるからです。

録音して、あとで文章にする

メモを取りながら聞かないでください。 手が動いていると、追加で聞く余裕がなくなります。

スマートフォンのボイスメモで録音して、聞くことに集中する。相手に「録音します」と一言伝えるだけで済みます。

録音を文章にする手順は会議の議事録をAIに任せる前に、決めておく4つのことと同じです。マイクを話す人の側に置く、最初の5分を聞き返して録れているか確認する。ここは共通です。

AIに下書きさせるのはここ

原稿づくりでAIが効くのは、聞き取った内容を整える段階だけです。

白紙からAIに会社紹介を書かせると、どの会社にも当てはまる文章が出てきます。事実が入っていないので当然です。一方、30分の聞き取りを渡して「この内容を、取引先に向けた事業紹介として600字で整えて」と指示すれば、事実に基づいた下書きが出ます。

出てきたものは下書きです。数字と固有名詞は必ず人が確認してください。 聞き取りの中で言い間違いがあれば、そのまま文章になります。

事実は社内、文章は外

ここで、逆の主張にも触れておきます。

制作会社のオンカは「ホームページ制作の際に自社で原稿を書かない方が良い理由」という記事を出しています。プロに任せるべきだ、という立場です。

この主張は正しい部分があります。 文章として仕上げる作業は、書き慣れた人の方が速く、質も高い。総務担当が3か月かけて書くより、聞き取った内容をライターに渡した方が早く終わります。

ただ、事実は社外の人間が持っていません。 材質の規格名、公差の数字、資格者の人数、去年入れた設備の型式。これはどれだけ優秀なライターでも取材しなければ書けません。そして取材は、結局社内の誰かが時間を出すことです。

だから線はここに引きます。

誰がやるか何を
社内事実を出す(数字、固有名詞、方針、客に聞かれること)
社外文章として仕上げる、構成を決める

当社の1ページ再生は初期30,000円で、原稿の作成費用を含んでいません(料金ページに記載)。使える素材を残す前提で成立している金額です。残せる文章の判定はホームページを作り直すとき、残せるものと残せないものに書きました。既存サイトの文章は8割そのまま使えるので、新しく用意するのは残りの2割と、追加するページだけです。

つまり、全ページ分の原稿を用意する必要はありません。 ここを誤解して、40ページ分を書こうとして止まっている会社があります。

聞いても埋まらないもの

正直に書いておきます。

社内に事実を持っている人がいない項目は、聞いても埋まりません。 よくあるのが沿革です。10年前に辞めた人しか知らない出来事があり、誰に聞いても出てこない。この場合、沿革は分かる範囲だけ書いてください。無理に埋めると、事実でないことを書くことになります。

「弊社の強み」も、聞いても出てきません。 聞くと「品質と納期です」という答えが返ってきます。これは全社共通の答えで、原稿には使えません。強みを聞くのではなく、断っている仕事を聞いてください。 断る基準の裏側に、できることが書いてあります。

それと、聞き取りは面倒です。日程を取るのに1週間、1件30分、文章にするのに1件1時間。4人に聞けば、合計で1日分です。ただ、白紙のまま3か月止まるより短い。

まとめ

ページ一覧を印刷して、1ページずつ「誰に聞くか」を名前で書き込んでください。書く人を決めるのではなく、聞く相手を決める。それだけで止まっている状態は動きます。

当社では、この聞き取りに同席して、そのまま原稿の形にするところまでを一緒にやっています。会社名とサイトのURLをお知らせください。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。対応範囲と料金は料金ページにすべて公開しています。

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