先に結論を2つ書きます。聞き方を業務名に変える。管理画面で見える項目を確認する。 この2つで、人数分の契約を増やすかどうかの判断ができます。 自分は生成AIを毎日使っていて効果を感じている。社員にも勧めたが、実際に使っているのか分からない。法人契約を10人分結ぼうか迷っているが、使われないまま月額を払うことになるのが怖い。この記事は、その判断のためのものです。

管理画面で見えるもの、見えないもの

法人向けプランを契約していれば、管理者用の画面があります。まず、ここで何が分かるかを整理してください。

見える(利用者、最終利用日)

サービスによって項目は違いますが、法人プランで一般に確認できるのは次のあたりです。

  • 招待した利用者の一覧
  • 招待を受け入れたかどうか(保留のまま放置されている人が分かる)
  • 最終に利用した日
  • 請求上の契約数(何人分の料金を払っているか)

「招待したが受け入れていない」人がいるのは珍しくありません。 ここを見るだけで、契約数と実際の利用者数の差が出ます。10人分契約して、6人しか受け入れていない、という状態がよくあります。

正確な項目名と表示内容は、契約しているサービスの管理者向けドキュメントを確認してください。仕様は変わるので、ここで断定はしません。

見えない(どの業務に使ったか)

ここを混同すると判断を誤ります。

最終利用日が今週になっていても、その人が何に使ったかは分かりません。 見積の文面を作ったのか、個人的な調べ物をしたのか、区別できない。

会話の中身は、管理者が読めない設計になっているサービスが多い。これは制限ではなく、そういう設計です。そして、読める設定があっても読まない方がいい。 読まれると分かった時点で、社員は使うのをやめます。

つまり管理画面で分かるのは「使っているか」までで、「何に使っているか」は分かりません。そこは聞くしかない。

個人契約だと、何も見えない

多くの中小企業は、この状態から始まります。

把握できないのではなく、仕組みを持っていない

社員が個人のアカウントで、無料版か個人課金で使っている。この場合、会社側には管理画面そのものが存在しません。 利用者数も、最終利用日も、何も見えない。

「把握できない」という言い方をすると、技術的に無理なことのように聞こえます。そうではありません。把握する仕組みを持っていないだけです。

そして、見えないことの問題は利用状況が分からないことだけではありません。3つあります。

1つ目。取引先からAI利用について照会が来たとき、答えられません。 この照会は実際に増えていて、回答の書き方は取引先からAI利用を聞かれたときに出す、A4 1枚に書きました。「使っていません」と答えて後から発覚するのは、この状態から起きます。

2つ目。退職時に、やり取りの履歴が本人と一緒に出ていきます。 個人アカウントなので、会社には何も残りません。その人が作った指示文も、途中の検討も消えます。

3つ目。経費精算が個人立替になり、会社として金額を把握できません。 月2,000円や3,000円の立替が部署ごとに散らばると、合計がいくらなのか誰も知らない状態になります。年額で見ると無視できない金額になっていることがあります。

会社契約に切り替えるときに起きること

個人契約から会社契約に移すと、1つ必ず起きることがあります。それまでのやり取りの履歴が、新しいアカウントには引き継がれません。

社員が個人アカウントで作りためた指示文や、途中の会話が使えなくなる。ここで抵抗が出ます。

対策は単純です。切り替える前に、よく使っている指示文をテキストファイルに書き出してもらう。 「今のアカウントで、よく使っている指示の文面を3つコピーして送ってください」と伝えるだけです。これをやらずに切り替えると、移行後しばらく使われなくなります。

もう1つ、切り替えの案内で伝えることがあります。会話の中身を管理者が読むわけではないという点です。ここを言わないまま会社契約に移すと、監視されると受け取られます。実際に読める設定があるかどうかは契約するサービスによりますが、読まない方針であることを先に伝えてください。

個人契約を残したまま会社契約を並走させるのは勧めません。どちらで作業したか分からなくなり、禁止情報の入力を止める仕組みが働きません。切り替えるなら、期限を決めて個人契約を解約してもらってください。

業務名と期間で聞く

管理画面で分からない部分は、聞いて埋めます。ただし、聞き方を変えてください。

「AIを使っていますか」と聞くと、ほぼ全員が「使っています」と答えます。研修の現場で何度も見てきました。社長が使っている会社では、特にそうなります。 期待に応える答えが返ってくるので、質問では実態が出ません。

代わりに、業務名と期間で聞きます。

> 先週、見積の送付文をAIで下書きしましたか。> 先月、議事録の要約にAIを使ったのは何回ですか。> 今月、AIに聞いてうまくいかなかったことはありますか。

3番目が一番効きます。使っていない人は、うまくいかなかった経験も持っていません。 答えられるかどうかで、実際に触っているかが分かります。

聞くのは3人で足ります。全員に聞くと調査になり、答えが硬くなります。使いそうな人、使っていなさそうな人、中間の人を1人ずつ選んでください。

聞いた結果を、業務名で書き出します。「見積の送付文:2人」「議事録の要約:1人」「求人原稿:0人」。これが、どの業務から広げるかの材料になります。

手順にすると、こうなります。

  1. 管理画面を開き、利用者の一覧と最終利用日を書き写す(15分)
  2. 招待が保留のままの人を数える
  3. 社員3人を選ぶ(使いそうな人・使っていなさそうな人・中間)
  4. 1人5分、業務名と期間で聞く
  5. 業務名ごとに人数を書き出す
  6. 2か月後に同じ手順をもう一度やって、並べる

6番が要点です。1回だけだと「今こうなっている」しか分かりません。2回やると、増えているのか止まっているのかが分かります。

正直に言うと、4番が気まずい。上司が部下に「AIを使ったか」と聞くと、査定の質問に聞こえます。「広げる業務を決めたいので教えてほしい」と目的を先に言ってください。 それでも構える人はいるので、聞くのは3人までにしておく方が無難です。

人数分を先に契約しない

判断を書きます。最初から人数分を契約しないでください。

始めるのは2〜3人分です。選ぶのは、繰り返し発生する定型業務を持っている人。「AIに詳しい人」ではありません。詳しい人に渡しても、その人の担当業務が月1回しか発生しなければ、使う機会がありません。

2〜3か月動かして、業務名で使用実績が出た段階で広げます。使用実績が出ない場合、増やしても同じことが起きます。

帝国データバンクの調査(2026年3月17〜31日、対象23,349社、有効回答10,312社、回答率44.2%)では、生成AIの活用について企業が挙げた懸念の3位が「生成AIを活用すべき業務の範囲」で40.0%でした。活用率は中小企業で32.4%、小規模企業で28.0%です。

課題は契約数ではなく、使う業務が決まっていないことにあります。 人数を増やしても、そこは解決しません。

当社はAI相談窓口を月20,000円〜(料金ページに記載)で提供していて、社員からの質問対応が含まれます。質問が来るかどうかが、そのまま使われているかどうかの指標になります。 契約して3か月、質問が1件も来ないなら、使われていません。

まとめ

社員3人に「先週、どの業務でAIを使ったか」を業務名で聞いてください。管理画面より先に、ここが早く分かります。

会話の中身は見ないでください。見られると分かった時点で、使われなくなります。把握したいのは中身ではなく、どの業務で動いているかです。

業務名で聞いた結果を、どの業務から整えるかの判断に使いたい場合は、当社のAI業務診断(業務の棚卸し60分、10,000円〜・税別)で一緒に整理できます。内容は生成AI導入支援に載せています。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。

運営会社と記事の確認方針 / 公開制作事例と支援の具体例

出典

(2026年3月17日〜31日、調査対象23,349社、有効回答10,312社、回答率44.2%)