会社サイトを作り直すことになり、制作会社から聞かれた。「ISOのマークは、今のサイトの画像をそのまま使いますか」。 ここで答えに詰まる会社があります。マークの画像は何年も前に誰かが貼ったもので、どこから来たのか、今も使ってよいのか、誰も知らない。品質管理の担当者に聞くと「審査のときに何か言われた気がする」。 マークの使い方を書いたページは、Amtivo や LRQA など審査登録機関が自社の顧客向けに出しています。ただ、どれも自社の規則の説明です。この記事は、取得した会社の側から、サイトに載せる前に何を確かめるかを順に書きます。例には、日本規格協会ソリューションズ(JSA)が公開している規則を使います。
決まりを作っているのは、自社の審査登録機関
最初に押さえる前提は1つです。マークの使い方の決まりは、ISOではなく、登録証を出した審査登録機関が決めています。
「ISOのロゴ」は使えない
「ISO 9001のロゴ」を探している方がいますが、そういうロゴはありません。
ISOが出した公表の手引き(日本規格協会の参考訳)は、はっきり「ISO のロゴは使わないでください」と書いています。ISOは規格を作る組織で、認証はしていません。ISO自体のロゴは登録商標で、認証に関連して使うことを認めていない、という説明です。
サイトに貼ってよいのは、審査登録機関が発行したマークです。
規則は機関ごとに違う
機関が違えば、規則も違います。
たとえば社用車。DQS は、認証マークを社用車にも使えると案内しています。一方、JSA の規則は、トラックなどの車両への表示を認めていません。どちらも同じ ISO 9001 の認証です。違うのは機関です。
だから、他社のサイトをまねても正解にはなりません。自社の登録証に書いてある審査登録機関の規則を、取り寄せて読むしかありません。JSA や SGS のように、規則をPDFで公開している機関もあります。見つからなければ、機関の担当窓口に「マークの使用規則の最新版をください」と頼んでください。
サイトに載せるときに確かめる4つ
ここからは、JSA の規則(2025年11月25日公開。マネジメントシステム登録維持管理遵守事項 共通版 改定21版からの抜粋)を例に書きます。自社の機関の規則と読み比べてください。
①マークに、規格と登録番号が入っているか
JSA の登録ロゴマークは、ロゴの部分、適用規格、登録番号の3つで1組です。ロゴの部分だけを切り取って表示することは禁じられています。 サイトのヘッダーに小さく入れるためにロゴだけ切り出した、という使い方はここで引っかかります。
②登録範囲の外の事業所と、同じページに並んでいないか
ここが一番間違えやすいところです。
ISOの認証は、会社全体ではなく、特定の工場や部門だけで取っていることがよくあります。本社と第1工場は対象、第2工場と営業所は対象外、という具合です。
JSA の規則は、マークを表示するときに登録範囲か登録事業所を明記するよう求めています。同じページに範囲外の事業所や事業が載っているなら、それが範囲外だと分かるようにすることが、マークを表示する条件です。会社全体で登録している場合に限って、範囲の記載を省略できます。
会社概要のページには、事業所が全部並びます。そこにマークを1つ置くと、全部の事業所が認証を受けているように読めます。対処は2通りです。
- マークの近くに「登録範囲:第1工場における◯◯の製造」と書く
- 事業所の一覧の中で、対象の事業所にだけ印を付ける
範囲外の事業所が多い会社には、マークを外して文章だけで書く方を勧めます。誤解を招く余地が小さく、更新のたびに画像を差し替える手間もありません。
③有効期間内か。古いマークが残っていないか
マークを使えるのは、登録の有効期間の間だけです。
サイトの作り直しで問題になるのは、古いマークがそのまま移植されることです。JSA の規則には、JAB の認定シンボルのデザインが2020年3月に変わり、旧デザインは2024年3月以降使わないこと、と書かれています。何年も前に貼った画像は、この旧デザインである可能性があります。
当社が会社サイトを作り直すときは、旧サイトからマークの画像を移す前に、最新の登録証と機関の規則を出してもらいます。規格の版、登録番号、登録範囲を登録証と照合し、画像は機関から最新のものを取り寄せ直します。古いサイトから画像を保存して使い回すことはしません。
認証を返上したときは、機関から受け取ったマークの画像を削除するよう規則に書かれています。返上を決めたら、サイトからも外します。
④文章で書くときの言い方
マークを使わなくても、登録の事実は文章で書けます。JSA の規則では「ISO14001:2015 認証取得」のような書き方を挙げ、規格番号は全体を書くことを勧めています。範囲外の組織を含むときは、登録範囲を書き添えます。
取引先は、登録を照会できる
取引先の購買や品質保証の担当者は、サイトに書いてある認証を、そのまま信じるとは限りません。
IAF(国際認定フォーラム)が運営する IAF CertSearch では、社名や登録番号から認証の有効性を確かめられます。
照会されたときに困るのは、サイトの表記と登録証が食い違っている場合です。規格の版が古い、登録範囲が広く書いてある、すでに返上している。新規取引の審査で会社概要が見られることは、新規取引の審査で最初に見られるのは、会社概要のページに書きました。ISOの表記も同じ目で見られます。
サイト以外で、貼ってはいけない場所
マークを一度もらうと、会社の書類のあちこちに貼りたくなります。JSA の規則が表示を認めていない場所には、BtoBの会社が日常的に使う書類が入っています。
- 見積書、提案書、製品保証書
- 図面、設計図、色見本
- 試験報告書、検査報告書
- 製品そのもの、製品の包装
- 製品を梱包する容器、通い箱、トラックなどの車両
理由は、製品が認証されたと誤解されるからです。ISO 9001 は品質を管理する仕組みの認証で、製品の合格証ではありません。見積書の隅にマークがあると、その見積の製品が認証済みであるかのように読めます。そこが問題です。
サイトの作り直しのついでに、見積書や提案書のひな形も見てください。テンプレートにマークが入っていることがあります。
規則の解釈に迷ったら、機関に書面で聞く
この記事は、規則の一般的な読み方までしか書いていません。自社の使い方が規則に合っているかを決めるのは、審査登録機関です。当社は審査登録機関ではありません。
JSA の規則にも、許可されているか判断できないときは書面等で確認するように、とあります。迷ったら聞く。メール1通で済みます。
誤解を招く表示に対しては、是正の要請から、登録の一時停止、取消し、違反の公表まで、機関がとりうる処置が JSA の規則に並んでいます。どこまで行くかは機関の判断です。更新審査で指摘されてから直すより、作り直しのときに一緒に直す方が手間は小さい。
まとめ
登録証を1枚出してきて、自社サイトのISOの表記と並べてください。規格の版、登録番号、登録範囲の3つが合っていれば、まず問題はありません。
合っていなければ、機関から規則とマークの最新版を取り寄せるところから始めます。サイトを作り直す予定があるなら、そのときにまとめて直すのが一番楽です。
ご相談のときは、会社名、サイトのURL、時間がかかっている業務をお知らせください。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。
出典
- 日本規格協会ソリューションズ「ご登録組織様における「審査登録機関の名称の使用、及び認証マーク又はロゴの使用」について」(2025年11月25日。ロゴマーク部のみの表示の禁止、登録範囲の明記、有効期間、見積書・図面・車両等への表示禁止、旧JAB認定シンボルの使用期限、書面での確認、不適切な公表への処置)
- 日本規格協会「ISO 9001:2008又はISO 14001:2004の認証取得を組織の内外に公表する際の参考文書(参考訳)」(ISOのロゴを使わないこと。ISOは認証を行わないこと)
- DQS「認証ロゴの使い方」(認証シンボルを社用車などに使えるとする案内)
- Amtivo「認証ロゴ使用ガイドライン」
- IAF CertSearch「Search and Verify Company Certificates」(社名や登録番号で認証を照会できること)
