会社概要のページは、住所と電話番号を載せておく形式的なページだと思われがちです。 そうではありません。 新規で取引を始めるとき、相手の与信担当が最初に開くのがこのページです。そして、開くときには登記簿が手元にあります。 この記事では、登記簿と突き合わせる5項目と、決算書を出したくない会社が代わりに示せるものを書きます。作業は登記事項証明書を1通取るところから始まり、半日で終わります。

相手は、登記簿とサイトを並べて見ている

与信管理の実務では、情報収集の1番目がホームページ、5番目が商業登記簿という順序で進みます。これはリスクモンスターの与信管理講座が9段階で整理しているとおりです。

つまり、サイトを見た後に登記簿を取る。 両方が手元に並びます。

登記事項証明書は誰でも取れる

ここを誤解している経営者がいます。登記事項証明書は、相手が誰であっても、手数料を払えば法務局で取得できます。オンラインでも請求できます。

会社の商号、本店所在地、事業目的、資本金、設立年月日、役員。これらはすべて公開情報です。 サイトに書かなければ隠せる、という性質のものではありません。

食い違いは「隠している」ではなく「管理できていない」と読まれる

ここが重要なところです。

サイトと登記簿が食い違っていたとき、相手は不正を疑うわけではありません。疑われるのは管理の水準です。自社の基本情報すら更新できていない会社は、納期管理や品質記録も同じだろう、と読まれます。

与信の世界では、決算書の数字を定量情報、経営姿勢や管理体制を定性情報と呼びます。リスクモンスターの整理では、代表者の人柄や経営力、意欲、経営姿勢が定性情報にあたります。サイトの更新状態は、この定性情報として読まれています。

登記簿と突き合わせる5項目

登記事項証明書を1通取って、サイトの会社概要を横に並べてください。

商号(前株・後株、旧字体)

「株式会社◯◯」と「◯◯株式会社」。サイトと登記簿でここが違っている会社が、実際にあります。名刺は正しいのにサイトだけ違う、という形が多い。

旧字体にも注意してください。登記が「髙」「﨑」「邊」なら、サイトもそれに合わせます。システム上で表示できない場合は、そのことを含めて制作会社に伝えてください。

本店所在地(移転、ビル名の有無)

移転したのにサイトが旧住所のまま、という状態を何度か見ました。郵便物と請求書は新住所で回っているので、社内では誰も気づきません。

ビル名と部屋番号も確認してください。登記に入っていればサイトにも入れます。

資本金(増資・減資)

増資したのにサイトが古いまま、という食い違いが起きます。資本金は与信の判断で必ず見られる数字なので、ここが古いのは印象が悪い。

逆に、資本金が小さいことを理由に書かないのは勧めません。 書いていないこと自体が確認対象になり、結局聞かれます。

設立年月日(「創業」と混ぜない)

創業と設立は別の概念です。個人事業として始めた年が創業、法人にした年が設立。登記簿に載るのは設立です。

サイトに「創業1965年」とだけ書いて設立年を書いていないと、登記簿の設立年と合わず、相手は確認作業を1つ増やすことになります。両方書いてください。 「創業1965年/設立1978年」で済みます。

代表者名(代表取締役の表記)

代表が交代したのにサイトが前の代表のまま、というのは最も重い食い違いです。契約書の記名押印者と違うことになるので、ここは必ず直してください。

登記簿に書いてあるのにサイトに無いもの

登記簿の「目的」欄には、その会社ができる事業が列挙されています。

ここで起きるのが逆の食い違いです。登記簿には書いてあるのに、サイトの事業内容に無い。 後から始めた事業を登記に追加したものの、サイトを更新していない。

相手から見ると、「登記上はできることになっているが、実態があるのか分からない」状態です。やっていない事業が登記に残っているのは珍しくないので、それ自体は問題になりません。ただ、今やっている事業がサイトに無いのは機会損失です。

事業内容の書き方はBtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字に書きました。登記簿の「目的」を写すだけでは足りません。目的欄は抽象的な文言で登記するのが通例なので、そのまま載せても何ができる会社か伝わらないからです。

決算書を出したくない会社が、代わりに示せるもの

新規取引で決算書の提出を求められることがあります。非上場の中小企業にとって、これは抵抗のある要求です。

出すかどうかは会社の判断です。ただ、出さない場合に何も示さないと、判断材料が無い相手は保守的になります。 代わりに示せるものが3つあります。

取引の継続年数

「創業以来◯◯業界と取引」「主要取引先との取引年数15年以上」。社名を出さなくても書けます。

継続年数は、決算書に出ない信用です。 取引が続いているのは、支払いと品質と納期が成立している証拠になります。社名を伏せた実績の書き方は取引先名を出せない会社の、実績ページの書き方にまとめました。

設備と従業員数

保有設備の一覧と、従業員数。これは生産能力の裏づけになります。

従業員数は正確に書いてください。パート・アルバイトを含めるかどうかも明記すると親切です。

認証・許可・資格

ISO 9001、建設業許可の番号、業法上の登録番号、技能士の保有者数。番号が書いてあると、相手は照会できます。 照会できる情報は、そのまま信用になります。

番号を書いていない会社が多いのですが、許可番号は公開情報です。隠す理由がありません。

載せない方がいいもの

全部を出せばいいわけではありません。

  • 社員の個人名と顔写真を、役員以外で一覧にすること。 退職時に消す作業が発生し、

だいたい放置されます

  • 代表者の自宅住所。 本店が自宅の場合は登記から分かってしまいますが、

サイトで重ねて強調する必要はありません

  • 主要取引先の社名を、許可なく並べること。 与信のために書いたつもりが、

秘密保持契約の違反になることがあります

  • 売上高を「億単位」で丸めて書くこと。 丸めた数字は決算書と合わず、

かえって確認を招きます。書くなら正確に、書かないなら書かない

直す順番

  1. 登記事項証明書を1通取る(法務局またはオンライン請求)
  2. サイトの会社概要を印刷する
  3. 5項目(商号・本店・資本金・設立・代表者)を1つずつ読み合わせる
  4. 食い違いに印を付ける
  5. 登記簿の「目的」と、サイトの事業内容を見比べる
  6. 認証・許可の番号を証書から写して追加する
  7. 制作会社に、直す箇所の一覧として渡す

3番は2人でやってください。1人だと読み飛ばします。数字と固有名詞は、声に出して読み合わせるのが確実です。

当社の5ページ再生(初期80,000円)には、トップ・会社・事業・実績・問い合わせが入ります。会社概要を5枚のうちの1枚として最初から数えているのは、ここが照合されるページだからです。

まとめ

自社の登記事項証明書を1通取って、サイトの会社概要と並べてください。食い違いが1つも無ければ、この記事でやることは終わりです。

会社概要を整えても、決算内容が理由の不採用は動きません。そこは別の話です。ただ、管理の水準を理由に落とされるのは、直せる範囲の損失です。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。

出典

(与信での情報収集の順序、商業登記簿の記載項目、定量情報と定性情報の区分)