パートを含めると、従業員はちょうど100人を超えたあたり。労働局から、女性活躍推進法の改正で公表する項目が増えたという案内が届いた。男女間の賃金の差と、女性の管理職の割合。いつまでに、どこに出せばよいのか。会社のホームページに載せるのか。 この記事は、その確認のためのものです。2026年4月1日に施行された改正で、常時雇用する労働者が101人以上の会社に加わった公表義務について、初回の期限、数字の出し方、会社サイトへの置き方をまとめました。根拠は厚生労働省の通達「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」(最終改正 2026年2月18日)と、栃木労働局の案内です。 先に結論を書きます。初回の期限は決算月で決まり、早い会社はもう過ぎています。 公表先は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」が最も適切とされていて、会社サイトへの掲載は必須ではありません。
何が変わったか
女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の会社は、女性の活躍に関する情報を定期的に公表することになっています。改正前、101〜300人の会社は、決められた項目の中から1つ以上を選んで公表すればよい仕組みでした。
2026年4月1日からは、次の2つが必須になりました(栃木労働局)。
| 規模 | 公表するもの |
|---|---|
| 101〜300人 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + そのほかの項目から1つ以上 |
| 301人以上 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + そのほかの項目から2つ以上 |
| 100人以下 | 努力義務 |
「そのほかの項目」は、採用した人に占める女性の割合、男女別の育児休業取得率、有給休暇の取得率、1か月あたりの平均残業時間などです。改正前から1項目を公表している会社は、それを続けながら2つを足すことになります。
「常時雇用する労働者」には、正社員だけでなく、期間の定めなく雇っている人や、1年以上続けて雇っている(または雇う見込みの)パートや有期の人も入る、と解説されています。100人を超えるかどうかの数え方に迷う会社は、労働局の雇用環境・均等部(室)で確かめてください。
初回の期限は、決算月で決まる
通達は、公表の時期を「各事業年度が終了した後、おおむね3か月以内」としています。101〜300人の会社が初めて公表するのは、2026年4月1日以後に最初に終わる事業年度の実績です。
決算月ごとに並べると、こうなります(通達に載っているのは4月末、12月末、3月末の3つの例で、それ以外は同じ考え方で当社が並べたものです)。
| 決算月 | 対象の事業年度が終わる日 | 初回の公表の目安(おおむね) |
|---|---|---|
| 4月 | 2026年4月末 | 2026年7月末 |
| 5月 | 2026年5月末 | 2026年8月末 |
| 6月 | 2026年6月末 | 2026年9月末 |
| 7月 | 2026年7月末 | 2026年10月末 |
| 8月 | 2026年8月末 | 2026年11月末 |
| 9月 | 2026年9月末 | 2026年12月末 |
| 12月 | 2026年12月末 | 2027年3月末 |
| 3月 | 2027年3月末 | 2027年6月末 |
この記事を書いている2026年10月末の時点で、4月〜6月決算の会社は目安を過ぎています。7月〜9月決算の会社は、今まさに準備の時期です。
「3月決算だから来年の話」と考えている会社も、対象は2026年4月から2027年3月までの1年分の賃金です。計算のやり方を決めるのは、今のうちが楽です。
男女間賃金差異の出し方
通達の計算方法を、手順にするとこうなります。
- 賃金台帳や源泉徴収簿をもとに、正規雇用、非正規雇用、全ての労働者の3つの区分ごとに、男女別の賃金総額を出す
- それぞれ、その事業年度に雇っていた人数で割り、男女別の平均年間賃金を出す
- 女性の平均を男性の平均で割り、100を掛ける。小数点第2位を四捨五入して、第1位まで出す
「賃金」には、給料、手当、賞与など、労働の対価として払うもの全てが入ります。退職手当と通勤手当は、会社の判断で除いてかまいません。ただし男女で同じ扱いにします。
公表するときに必ず書く注記が2つあります。対象の期間と、パートの人数を労働時間で換算した場合はその旨です。除いた手当がある場合は、その名前も書くことが望ましいとされています。
もう1点。この数字は会社単位で出します。本社だけで計算して済ませることはできず、支店や工場の従業員も含めます。
計算そのものは、当社の仕事ではありません。給与計算を頼んでいる社会保険労務士や、労働局に相談してください。厚生労働省は計算を支援するツールも公開しています。
女性管理職比率の「管理職」
栃木労働局の案内では、管理職は「課長級」と、それより上の役職(役員を除く)を合わせたものです。
課長級は、通常「課長」と呼ばれる人で、その組織が2つ以上の係からなるか、構成員が10人以上(課長を含む)のものの長。または、呼び方にかかわらず、仕事の内容と責任の重さが課長級に当たる人です。「課長代理」「課長補佐」は、一般的に課長級に当たらないとされています。
中小企業では、「課長」という肩書きでも部下が数人という場合があります。肩書きだけで数えず、この定義に当てはめて数えてください。
公表先はデータベース。会社サイトにはどう置くか
通達は、公表先について、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切だとし、自社のホームページへの掲載を妨げるものではない、としています。厚生労働省のページは、一般の求職者などから見て、どこに載っているか分かるように公表することを求めています。
会社サイトには、当社は次のように置くことを勧めます。
| 置くもの | 理由 |
|---|---|
| データベースの自社のページへのリンク | 数字の正本を1か所にする |
| 公表した日と、対象の事業年度 | いつの数字かを示す |
| 数字の背景と、会社の取り組みの説明 | データベースの欄に書ききれないことを、自社の言葉で書く |
置き場所は採用ページです。会社概要のページに置いても、探す人は採用ページから来ます。
数字そのものを会社サイトにも表で載せたい会社もあると思います。それ自体はかまいません。ただ、数字を2か所に載せると、毎年2か所を直すことになります。データベースだけ直して会社サイトの表が1年前のまま、という状態は、採用の場面で逆効果です。当社が採用ページを作り直すときは、数字はリンク先に任せ、会社サイトには説明だけを書く形にしています。
説明について、通達は任意の追加情報として、差異が生まれている背景や要因、縮める取り組みを説明欄に書くことを勧めています。たとえば「夜勤のある製造ラインの正社員に男性が多い」「女性のパートが多く、非正規の区分で差が出ている」といった事情です。数字だけを見せるより、事情を書いた方が求職者には伝わります。
100人以下の会社は
100人以下の会社は努力義務です。公表しなくても法律違反にはなりません。
それでも、採用ページで女性の管理職の人数や育児休業の取得の実績を見せたい、という会社はあります。その場合も、出すなら毎年直せる数字だけにしてください。1回出して止まった数字は、出さないよりも悪く見えます。
採用ページの作り直しの相談のときは、会社名とサイトのURL、決算月を教えてください。
まとめ
今日やることは1つです。自社の決算月を上の表に当てはめて、初回の公表の目安を確かめてください。 過ぎていたら、労働局に相談しながら急いで準備します。まだ先なら、賃金台帳から3区分を出すやり方を、給与の担当者と決めておきます。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。
出典
- 厚生労働省「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」(雇均発0708第2号、最終改正 令和8年2月18日。3区分、計算方法、注記、公表先、公表の時期と初回の例、説明欄。2026-10-30に確認)
- 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」(公表の方法、行動計画)
- 栃木労働局「女性活躍推進法の改正について」(規模ごとの公表項目、管理職と課長級の定義)
- Orrick「男女間賃金差異の公表義務の対象拡大」(2026-07-01。常時雇用する労働者の範囲の解説)
