通所介護と訪問介護、居宅介護支援の事業所を運営している。重要事項は事業所の壁に掲示してあるし、介護サービス情報公表システムにも毎年報告している。それでも、指導の場で「ウェブサイトへの掲載はどうなっていますか」と聞かれた。何をどこに載せればよかったのか。 この記事は、その整理のためのものです。2025年4月から義務になった重要事項のウェブ掲載について、載せるもの、法人サイトか公表システムかの決め方、法人サイトに載せるときの作り方をまとめました。根拠は自治体の資料(静岡市、豊明市など、高知県)です。 先に結論を書きます。法人サイトと公表システムのどちらか一方に載せれば足ります。 法人サイトの更新を担当する人がいないなら、公表システムで十分です。
2025年4月から、掲示に加えてウェブ掲載が義務
令和6年度の介護報酬改定で、運営規程の概要などの重要事項について、事業所内での書面の掲示に加えて、原則としてウェブサイトにも掲載することが義務になりました。適用は2025年4月1日から、全てのサービスが対象です(静岡市の資料)。
ここでいうウェブサイトは、次のどちらかです。
- 法人のホームページ等
- 介護サービス情報公表システム
背景として、利用者や家族がウェブ上で重要事項を確認し、事業所を比べられるようにすることが挙げられています(豊明市などの講習会資料)。同じ資料は、ウェブサイトへの掲載が確認できない場合は運営基準違反として指導の対象になる、と書いています。
条文は、サービスごとの指定基準にあります。たとえば居宅介護支援なら、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準の第22条第3項です。
もう1つ、見落としやすい点があります。事業所内の掲示(または、いつでも自由に見られる場所への備え付け)は、これまでどおり必要です。ウェブに載せたから壁の掲示を外してよい、ということにはなりません。
載せるもの
豊明市などの講習会資料に挙がっている「掲示しなければならない重要事項」は次のとおりです。
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 運営規程の概要 | 運営規程そのものではなく概要 |
| 勤務体制 | 職種ごと、常勤・非常勤ごとの人数を示す趣旨で、氏名までは要らない |
| 事故発生時の対応 | |
| 苦情処理の体制 | |
| 第三者評価の実施状況 | 実施の有無、直近の実施年月日、評価機関の名称、結果の開示状況 |
| その他、サービスの選択に役立つ重要事項 | 利用料など。施設サービスなら協力医療機関も(静岡市の資料) |
実務では、利用者に渡している重要事項説明書が、これらをほぼ全部含んでいます。高知県の資料も、公表システムに重要事項説明書をアップロードする手順を案内しています。
ただし、利用者に渡す版をそのまま載せるのは避けてください。理由は後の節で書きます。
法人サイトか、公表システムか
どちらか一方でかまいません。高知県の資料には、法人のホームページ等ですでに公開している場合は、公表システムへの掲載は不要と書かれています。
では、どちらを選ぶか。当社の判断の基準はこうです。
| こういう法人なら | 載せる先 |
|---|---|
| 法人サイトを更新する担当者が社内にいる。事業所が複数ある | 法人サイト |
| 法人サイトの更新を外部の制作会社に頼んでいて、1回の修正に日数や費用がかかる | 公表システム |
| 法人サイトが無い、または何年も更新していない | 公表システム |
決め手は、料金が変わったときに、その日のうちに差し替えられるかです。介護報酬の改定や加算の取得で、利用料は数年おきに変わります。重要事項は、変わったら古い版を出し続けないことが大事です。
公表システムは、事業所の担当者が自分でファイルをアップロードできます。制作会社を通す必要がありません。
当社は会社サイトの作り直しを仕事にしていますが、この件のためだけにサイトを改修することは勧めません。 公表システムで足りるからです。法人サイトを作り直す予定があるなら、そのときに置き場所を作れば十分です。
法人サイトに載せるときの作り方
法人サイトに載せる場合、当社は次のように作ります。
事業所ごとに分ける
重要事項は事業所ごとに違います。通所介護と訪問介護では、運営規程も勤務体制も利用料も別です。法人で1つのPDFにまとめず、事業所ごとに1ファイルにします。
法人サイトに事業所ごとの紹介ページがあるなら、それぞれのページの下に「重要事項(掲示事項)」のリンクを置きます。紹介ページが無いなら、「重要事項」という1ページを作り、事業所名ごとにリンクを並べます。そのページへは、全ページの一番下(フッター)からも辿れるようにします。トップページのお知らせ欄に1回載せただけでは、数か月で埋もれて見つからなくなります。
掲示用の版を作る
利用者に渡す重要事項説明書には、署名欄、押印欄、利用者名を書く欄、説明した日付の欄があります。ウェブに載せる版では、これらを外します。
その代わりに、表紙か1ページ目の上に「〇年〇月〇日現在」を入れます。いつの版かが分からないと、利用料が古いのか新しいのか、見た人に判断できません。
勤務体制の欄に職員の氏名が入っている書式を使っている事業所は、ウェブ用の版では人数だけにします。氏名まで要らないことは、前の節のとおりです。
差し替えは同じURLに上書きする
これは制作の現場でよく起きる失敗です。料金を改定したとき、新しいPDFを別の名前でアップロードし、リンクだけ付け替える。すると、古いPDFもサーバーに残り、検索結果から古い料金のファイルに直接たどり着けてしまいます。
差し替えるときは、同じファイル名で上書きするか、古いファイルを削除します。ファイル名は「jigyosho-tsusho-juuyoujikou.pdf」のように事業所名だけにし、日付や版番号を入れない方が、上書きしやすくなります。
改定の予定は、加算の届出や料金表の変更と同じ日に、掲示とウェブの両方を直す段取りにしておいてください。壁の掲示だけ新しくて、ウェブが古いままという状態がいちばん多い。
公表システムに載せるときの手順
公表システムに載せる場合の手順は、高知県の資料にこう書かれています。
- 介護サービス情報公表システム(報告用)にログインする
- 「事業所の特色」のページを開く
- ページの一番下にある「法令・通知等で『書面掲示』を求めている事項の一覧」で、「利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項(運営規程の概要等)」の欄を探す
- 「ファイルの選択」で重要事項説明書を選び、書類のタイトルを入れてアップロードする
ファイルの形式はPDF、Excel、Wordのいずれかです。ここでも、署名欄などを外した掲示用の版を使います。
熊本市の案内によれば、介護サービス情報公表制度の報告の対象は、前年に受けた介護報酬が100万円を超える事業所などです。報告の対象になっていない小さな事業所が、ウェブ掲載をどう扱えばよいかは、この記事を書く時点で資料から確かめられませんでした。該当する事業所は、指定を受けた窓口に確認してください。
この記事で扱わないこと
重要事項説明書の中身(運営規程の概要として何を書くか、利用料の書き方)の正しさは、この記事では判断しません。サービスごとに基準が違い、窓口によって運用が異なることもあります。
迷ったら、指定を受けた県または市町の介護保険の担当課に、載せる予定のファイルを見せて確かめてください。
法人サイトに置き場所を作る相談のときは、会社名とサイトのURL、事業所の数を教えてください。
まとめ
今日やることは1つです。介護サービス情報公表システムの閲覧用のページで、自分の事業所を検索してください。 「事業所の特色」の一番下に重要事項のファイルが出ていれば、公表システム側は済んでいます。出ていなければ、法人サイトにも載っていないか確かめ、どちらかに載せます。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。
出典
- 静岡市「令和6年度介護報酬改定に係る事項(「書面掲示」規制の見直し)」(令和7年4月1日から全サービス、ウェブサイト=法人のホームページ等又は情報公表システム。2026-10-30に確認)
- 豊明市「掲示における重要事項説明書のWeb掲載について」(令和7年度尾三地区介護保険指定事業者合同講習会。掲示すべき重要事項、指導の対象)
- 高知県「介護サービス情報の公表 「重要事項説明書」のアップロード方法」
- 熊本市「介護サービス情報の公表制度」(報告の対象、令和8年度報告の留意点)
