商談会に出て、名刺を60枚もらった。お礼メールを出したが、返信は2件。出展料と人件費を考えると割に合わない気がして、来年も出るかを決めかねている。 この記事は、その判断をするためのものです。 返信しなかった58人のうち、何人かは社名で検索して自社サイトを見ています。 そこで何を見たかは返信率には出ません。まず、その人数を数えるところから始めます。
返信の前に、相手は検索している
展示会のフォローアップを扱った記事は、どれも人が動く側の話です。お礼メールを2〜3日以内に出す、会話の内容を入れて思い出してもらう、名刺の裏にメモを残す。
販促の情報サイトハンソクエストは「展示会の2〜3日以内にはお礼の連絡を入れましょう」と期限まで具体的に書いています。実務として正しい内容です。
ただ、この種の記事はサイト側の準備に一切触れていません。 名刺を受け取った相手が次に何をするかが抜けています。
相手の側に立つと、順序はこうなります。展示会から戻り、もらった名刺の山を整理する。気になった会社を社名で検索する。サイトを開いて、何をしている会社かを確かめる。そこで判断して、返信するかどうかを決める。
返信率は、この最後の一段だけを見ている数字です。母数が見えていません。
検索された回数を数える
この母数は、無料で数えられます。Search Console(サーチコンソール)を使います。
Search Console で社名の検索回数を見る手順
- Search Console を開き、自社サイトのプロパティを選ぶ
- 左の「検索結果」(検索パフォーマンス)を開く
- 期間を指定する(後述)
- 下のタブで「クエリ」を選ぶ
- 検索バーに自社の社名を入れて絞り込む
ここに出る「表示回数」が、社名で検索して自社サイトが検索結果に出た回数です。クリック数が、実際に開いた回数になります。
社名の表記ゆれに注意してください。「株式会社◯◯」「◯◯」「◯◯ 滋賀」でそれぞれ数字が出ます。合計して見てください。
出展の前後2週間で比べる
出展日を挟んで、前2週間と後2週間の表示回数を比べます。期間の指定は「カスタム」から日付を入れて切り替えます。
数字の読み方は単純です。後の期間の方が多ければ、その差が展示会で興味を持って調べに来た人の数です。
60枚渡して、表示回数の増加が25だったとします。返信2件という数字とは、見えるものがまったく違います。25人は自社を調べに来ていて、そのうち2人が返信した。次に直すのは、お礼メールの文面ではなくサイトの中身だと分かります。
数字が動かなかったときに考えること
前後でほとんど変わらなければ、可能性は3つです。
- 名刺に社名が読み取りにくい形で入っている(ロゴだけで社名が小さい)
- その場の会話で、調べたくなる情報を渡せていない
- Search Console にデータが溜まる前(登録直後は数字が出ません)
3番でなければ、ブースでの会話の方に原因があります。サイトを直しても届きません。
出展前に足す1枚
1枚で足ります。 出展テーマに合わせた対応範囲のページを作ってください。
展示会に出るとき、会社は何か1つを前面に出します。特定の加工、特定の工種、新しい設備。ブースでその話をして名刺を渡す。ところが相手が検索して着くのはトップページで、そこには会社全体の話しか書いていない。
ブースで話した内容と同じことが書いてあるページを1枚作って、名刺のQRコードをそこに向けてください。 内容は、材質・寸法・ロット・納期・設備といった対応範囲の数字です。書き方はBtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字にまとめました。
実際に見た状態では、名刺のQRコードがトップページに飛ぶだけ、というのがほとんどです。せっかく読み取ってもらっても、その場で話したことにたどり着けません。
間に合わなければ、出展後でも構いません。検索されるのは展示会の翌週からなので、そこまでに公開できれば効きます。
そうは言っても、出展の準備でそれどころではない、と思われるかもしれません。優先順位で言えば、ブースの装飾より先です。装飾を見るのは通りかかった人だけで、このページを見るのは名刺を交換した相手です。母数は少なくても、確度が違います。
作業量も書いておきます。対応範囲のページ1枚に必要な数字を現場から集めるのに1〜2時間、文章にするのに1時間。半日です。 出展料に比べれば安いのですが、出展直前の半日を空けるのが一番難しい。だから、出展が決まった時点で先に作ってください。
お礼メールに入れるリンク
ハンソクエストの記事が書いているとおり、お礼は2〜3日以内に、会話の内容を入れて出します。そこに1つ足してください。
前の章で作ったページのURLを、1本だけ入れます。
トップページのURLではありません。会話した内容のページです。文面はこれで足ります。
> 先日はありがとうございました。◯◯の加工についてお話しした件、対応範囲をこちらにまとめています。> (URL)
リンクを2本以上入れないでください。どれを見ればいいか分からなくなります。会社案内のPDFを添付するのも、この段階では不要です。相手はまだ資料を読む気になっていません。
この数字で分からないこと
社名検索の回数は、誰が調べたかを教えてくれません。 名刺を渡した相手なのか、求職者なのか、同業の調査なのか、区別がつきません。60枚渡して25増えたとしても、その25人が名刺の相手だとは言い切れません。
もう1つ。同じ月に別のことをしていると、切り分けられません。 展示会と同じ月に広告を出していたり、地元紙に載ったりしていれば、増えた分がどちらの効果かは分かりません。判断できるのは「何かが起きた」までです。
それでも、返信率だけを見るより判断材料は増えます。返信率は分母が見えない数字で、社名検索は分母そのものです。
まとめ
Search Console を開いて、出展した月と前の月で、社名の検索回数を比べてください。返信率より先に見る数字はこちらです。
社名検索が増えても、受注に直結するとは限りません。増減の方向が分かるだけです。それでも、来年出るかどうかを決めるには、返信2件という数字より役に立ちます。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。検索キーワード、サービスページ、記事、内部リンク、計測の改善までを対応範囲にしています。