「直帰率や滞在時間を見れば、サイトの良し悪しが分かる」と思われがちです。 従業員数十人の会社のサイトでは、この2つは判断に使えません。 母数が足りないからです。 サイトを作り直して1か月半、問い合わせは増えていない。社長から「で、効果は出たのか」と聞かれた。アナリティクスを開いたら直帰率が68%で、調べたら「平均より高い」と書いてあった。この記事は、その状態から読まれることを想定しています。 見る指標は3つ。判断は3か月後です。

直帰率の「業界平均」は、自社に当てはめられない

検索すると、業界別の直帰率の目安が出てきます。飲食は何%、製造業は何%、という表です。

出典の母集団が書かれていない

この種の数字を引用する前に、確認してほしいことがあります。その数字は、何社の、どのサイトを、いつ集計したものか。

アクセス解析ツールを提供しているWACULの記事は、業界別の直帰率を数字で並べています。参照元の名前も書かれています。ただ、本文を読んでも対象サイト数、分析期間、調査時期が示されていません。

だから当社は、この数字を自社の判断に使いません。記事を疑っているわけではなく、母集団が分からない数字は、自社が母集団に含まれるかどうかも分からないからです。

同じ理由で、当社は記事の中で出典の確認できない統計を書かないことにしています。

母数が小さいと、率は偶然で動く

もう1つ、より実務的な理由があります。

直帰率は「1ページだけ見て帰った人の割合」です。割合なので、分母が小さいと1人の行動で大きく動きます。

月200アクセスのサイトなら、1日あたり6〜7人です。このうち1人が2ページ目を見るかどうかで、その日の直帰率は10%以上動きます。月単位でも、数人の差で数%動く。

つまり68%と70%の差に意味はありません。 これは統計の性質の話で、サイトの出来とは関係がない。

実際に、月200アクセス前後のサイトで直帰率の改善を議論していた会社を見たことがあります。数か月かけて議論した内容が、1人か2人の行動の差でした。

見なくていい3つの指標

母数が小さい会社のサイトでは、次の3つを見ないでください。

直帰率。 上に書いたとおりです。

平均滞在時間。 これも割合と同じ理由で振れますが、もう1つ問題があります。ページを開いたまま席を立った人と、真剣に読んだ人が区別できません。BtoBのサイトでは、対応範囲の表を印刷して会議に持ち込む人がいます。その人の滞在時間は短く出ます。

ページビュー。 増えても減っても、次にやることが決まりません。社員が自社サイトを開いた分も入ります。

3つとも、大きなサイトでは意味を持つ指標です。母数が数万あれば、率の変化は実態を反映します。自社がその規模にないなら、見る意味がありません。

見る3つの指標

代わりにこの3つを見ます。すべて件数か回数で、割合ではありません。

①問い合わせ件数(4経路の合計)

フォーム、電話、担当者宛の直接メール、この3つを足した数です。BtoBでは反応がフォームだけに出ないので、経路ごとに数えて合計します。数え方はホームページから何件来ているか、自社で数えられるようにするに書きました。

月3件が月5件になったかどうか。 率ではなく、この形で見ます。

記録は紙かExcelで、月・経路・件数・メモの4列だけ作ってください。メモの欄には、その月に何をしたかを1行書きます。「対応範囲のページを公開」「展示会に出展」。3か月後に振り返るとき、この1行があるかないかで読み方が変わります。

1つ注意があります。経路の定義を途中で変えないでください。 3か月目から「既存客からの注文も1件に数える」と変えると、増えたのが実態なのか数え方なのか分からなくなります。定義は最初に紙に書いて、変えたくなったら3か月が終わってからにしてください。

②社名の検索回数

Search Console(サーチコンソール)で、自社名で検索された回数を見ます。

これは「新しく見つけてもらった数」ではなく、すでに会社を知っている人が確認しに来た数です。展示会、紹介、営業活動の効果がここに出ます。展示会の前後で比べる手順は展示会で名刺を渡した後、相手は社名で検索しているに書きました。

社名の表記ゆれは合計して見てください。「株式会社◯◯」「◯◯」「◯◯ 滋賀」「◯◯ 求人」で別々に出ます。最後のものが増えていれば、それは取引の検討ではなく求職者です。用途が違う数字が混ざるので、求人系の語だけは分けて数えてください。

③主要ページの表示回数

同じくSearch Consoleで、対応範囲のページや実績ページが検索結果に何回出たかを見ます。

トップページではなく、直したページを見てください。 対応範囲のページを作ったなら、そのページの表示回数が増えているかどうかが、直した効果に一番近い数字です。どのページにどの語で人が来ているかの確認はSEOツールを買う前に、自社にあるデータでキーワードを決めるの手順が使えます。

この3つ目だけは、表示回数とクリック数の両方を見てください。表示回数だけ増えてクリックが増えていない場合、検索結果に出ているのにタイトルが読まれていません。直すのはページの中身ではなくタイトルの文言で、これは半日で終わります。

3つとも、Excelの同じシートに月ごとに書き足してください。 3つを別の場所で管理すると、3か月後に並べる作業が発生して、そこで止まります。

判断してよいのは3か月後

1か月半で判断しないでください。理由が2つあります。

1つ目は、検索側の評価が動き終わっていないこと。 ページを作り直すと、Googleがそれを読み直して評価するまでに時間がかかります。ページ数が多いサイトほど遅い。1か月では、まだ古い評価のままのページが残っています。

2つ目は、BtoBの母数の問題。 月3件の問い合わせがあるサイトで、1か月分のデータは3件です。3件が4件になっても、増えたのか偶然なのか分かりません。3か月なら9件と12件の比較になり、まだ心細いものの、方向は見えます。

だから、公開日から3か月後の日付をカレンダーに入れてください。そこまでは率を見ない。 件数だけを毎月記録して、比較は3か月後に1回だけやる。

当社がよくある質問で「順位、問い合わせ、売上、削減時間の保証はできません。確認する指標を決め、実施前後を比較します」と書いているのは、この進め方のことです。保証の代わりに、何をいつ見るかを先に決めます。

作り直した直後に順位が下がることがある

ここで慌てないでください。

URLが変わった場合

ページの置き場所(URL)が変わると、それまで検索結果に出ていた入口が一時的に消えます。古いURLから新しいURLへ転送する設定をしていても、Googleが読み替えるまでに時間がかかります。

下がる期間の長さは、サイトの規模と変更の量で変わります。1か月から数か月です。 ここで「作り直して失敗した」と判断すると、戻すことになります。

それでも戻さない理由

戻すと、変更が2回起きたことになります。 下がっている期間がさらに延びます。

やることは2つだけです。旧URLと新URLの対応表を作って、転送の設定が全部効いているかを制作会社に確認する。そして待つ。

転送の設定は、公開前に確認する項目に入れておいてください。手順は公開前に発注者が確かめるのは、デザインではなく数字に書きました。

3か月待っても分からないこと

正直に書きます。3か月見ても判断できない場合があります。

季節性のある業種。 建設業の年度末、製造業の夏季休暇の前後、士業の確定申告期。この時期を挟むと、前の3か月と比べても意味がありません。この場合は前年の同じ月と比べるしかなく、初年度は比較対象がありません。1年待つことになります。

問い合わせが月1件以下の会社。 3か月で3件では、統計として何も言えません。この規模では、数字ではなく内容を見てください。1件の問い合わせが、以前より具体的な相談になっているかどうか。それは数えられませんが、営業担当者は分かります。

そして、数字が動いても理由は分かりません。 増えた月に何をしたかは記録できますが、それが原因だと証明はできません。分かるのは方向だけです。

ここで「どの会社が見に来たか分かれば理由が分かる」と考えて、来訪企業の可視化ツールを検討する会社があります。判別できる範囲には限りがあるので、契約の前にサイトに来た会社名が分かるツールは、半分の訪問にしか効かないを読んでください。

まとめ

公開日から3か月後の日付をカレンダーに入れて、そこまで率を見ないでください。毎月やるのは、問い合わせ件数を4経路で数えて紙に書くことだけです。

社長に聞かれたときの答えは、「3か月後に4つの数字で報告します」で足ります。1か月半の数字で答えるより、そちらの方が正確です。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。成果を保証しない代わりに、確認する指標を決めて実施前後を比較しています(よくある質問)。

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