金属加工、板金、設備工事。うちの値段は図面と現場で決まるので、サイトに価格なんて載せられない。そう思っている社長は多いと思います。一方で、問い合わせに見積を出したあと、「思っていたより高い」「その数量なら他に頼む」で終わる案件が続いている。 この記事は、見積で値段が決まる会社が、会社サイトに何の数字を載せればいいかを決めるためのものです。定価表を作る話ではありません。 先に結論を書きます。載せるのは、最低金額、条件をそろえた価格の例3件、見積の返事までの日数の3つです。これだけで、合わない問い合わせは減り、合う問い合わせは話が早くなります。

載せるのは定価ではなく、3つの数字

価格をサイトに載せるべきか、という議論は海外にたくさんあります。調査会社フォレスターのアナリストは2019年、中身が複雑な商材でも、8割の客に合う型を作り、「1万ドルから」のように幅で示す方法を勧めています。イギリスの制作会社JDRグループは2023年、価格は合わない客をふるい落とすフィルターになる、と書いています。

ただ、どちらもソフトウェアやサービス業を前提にしています。図面1枚ごとに値段が違う受託加工や、現場ごとに違う工事の会社が何を載せればいいかまでは、書いていません。

見積で値段が決まる会社が載せられる数字は、次の3つです。

数字書き方の例効くこと
最低金額「1回のご注文は、加工費◯万円からお受けしています」1個だけ、数千円だけ、という依頼が来なくなる
価格の例次の章で書く相手が自分の案件の大きさを見当付けられる
見積の返事の日数「図面をいただいてから、3営業日以内に見積をお返しします」相手が他社と比べる段取りを立てられる

最低金額が一番効きます。 見積に1時間かけて、相手の予算が1万円だった、という時間がなくなります。

3つめは価格ではありませんが、ここに並べておく価値があります。急ぎの相手は、値段より先に「いつ返事が来るか」で問い合わせ先を決めます。図面を受け取る形の整え方は見積の往復を減らす、図面を受け取れるフォームにするに書きました。

価格の例は、条件をそろえて3件

価格の例は、実際に出した見積から3件選び、条件と金額を並べます。ここで大事なのは、金額より条件の書き方です。 条件が書いていない「◯円」は、何の役にも立ちません。

書き方はこの表の形にそろえます。金額は、自社の実際の見積から入れてください。

内容材質・大きさ数量納期金額(税別)
丸棒の旋盤加工(穴あけ、ねじ切りあり)SS400、直径50mm、長さ120mm20個2週間1個あたり 約◯,◯◯◯円
板金のカバー(曲げ4か所、塗装なし)SPCC、厚さ1.6mm、300×200mm10個10日1個あたり 約◯,◯◯◯円
同じカバーを量産同上300個3週間1個あたり 約◯,◯◯◯円(10個のときより下がる)

3件の選び方にもコツがあります。

  • 一番多い依頼を1件。 相手が「うちの案件はこのあたり」と見当を付けられる
  • 数量で単価が変わる例を1組。 上の表の2行目と3行目のように、同じものを数量違いで並べると、ロットの考え方が一目で伝わる
  • 金額は「約」を付けて、端数を丸める。 その時の材料の値段で変わることも、表の下に1行書く

工事の会社なら、「事務所のエアコン入れ替え(天井埋め込み型、1台、既設の撤去を含む)」のように、作業の範囲を書いて金額を並べます。

取引先の名前は出しません。取引先名を出せない場合の実績の書き方は取引先名を出せない会社の、実績ページの書き方にまとめています。

「競合に値段が知られる」について

価格を載せない理由として、一番多く聞くのがこれです。

たしかに、同業者は見ます。ただ、地域の同業者は、すでにだいたいの相場を知っています。相見積で負けた案件から、相手の値段を察していることも多い。サイトに載せた3件の例で知られることは、もう知られていることがほとんどです。

逆に、価格の例を見て問い合わせてくる発注側の担当者は、社内で「だいたい◯円かかります」と上司に話してから連絡してきます。社内の稟議を通しやすくなるので、話が早く進みます。

数字を載せると、断る問い合わせも増えます。それは悪いことではありません。対応範囲の数字で同じことが起きる理由は、BtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字の後半に書きました。

当社も、会社サイトの作り直しとAI支援の料金を、料金ページに全部載せています。1ページの作り直しなら初期30,000円+月額1,900円、AI業務診断は10,000円〜(いずれも税別)。AI支援のように会社ごとに中身が違うものも、「〜」を付けて最初の金額を出しています。

どこに載せるか

3つの数字は、料金のページを新しく作らなくても載せられます。置く場所は2か所です。

  1. 事業内容のページの、加工や工事の説明のすぐ下。 「できること」を読んだ直後に、「どのくらいの大きさの仕事から受けているか」が分かる位置です
  2. 問い合わせのページの、フォームの上。 最低金額と見積の日数だけを、もう一度短く書きます。送る直前の人が、最後に確かめる場所だからです

価格の例の表は、事業内容のページに1回だけ置けば足ります。あちこちに同じ表を置くと、材料の値段が変わったときに直し漏れが出ます。直す場所は1か所にしておく。 年に1回、決算の月などに、表の金額を見直す日を決めておいてください。

載せない方がいい会社

全部の会社に勧めるわけではありません。次の場合は、価格の例を載せない方がいい。

  • 取引先が数社に限られていて、新しい取引先を探していない。 サイトから新規の問い合わせが来ることを期待していないなら、載せる意味がありません
  • 材料の値段が月単位で大きく動く。 載せた例がすぐに古くなり、直す手間に見合いません。この場合は最低金額と見積の日数だけを載せます
  • 元請けとの契約で、価格の開示が制限されている。 契約書を確かめてください

フォレスターも、載せるかどうかは成長の仕方や商材の複雑さなどで決まる、としています。新しい取引先をサイトから増やしたい会社なら、少なくとも最低金額は載せる価値があります。

まとめ

今日やることは1つです。直近半年の見積から、一番多い種類の依頼を1件選び、材質・大きさ・数量・納期・金額を1行に書いてください。

その1行が、価格の例の1件目になります。あと2件そろえば、会社サイトに載せられます。

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ご相談のときは、会社名、サイトのURL、時間がかかっている業務を書いていただくと、話が早く進みます。

この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。

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