実績ページを作りたいが、取引先の社名を出せない。秘密保持契約があり、元請に聞くのも気が重い。そうして実績ページが空のまま何年も経っている。 この記事は、社名を伏せたまま実績を載せるための書式です。 1件を6項目で書きます。3件書けばページとして成立します。先に言っておくと、発注を検討している相手が見ているのは社名ではありません。

発注検討者は、社名ではなく中身を見ている

実績ページを開いた相手が探しているのは、「自分が困っている仕事を、この会社が実際にやったことがあるか」です。

社名が効くのは1つだけ、相手がその社名を知っている場合です。「トヨタ系」「村田系」と書けば力量の見当がつく。それは確かに強い。

ただ、社名が使えないときに情報量をゼロにする必要はありません。社名は情報の一部であって、全部ではない。 材質、寸法、数量、公差、納期、工程数。これらは社名を伏せても書けますし、判断材料としてはこちらの方が直接的です。

建設業の実績掲載について書いたアトラボの記事は、掲載できない場合の代替案として「某大手企業の物流センター」という伏せ方と、自社の技術・得意分野を前面に出す方法を挙げています。方向としては正しい。ただ、ここで止まると「技術紹介ページ」になってしまい、実績ページにはなりません。

実績ページの価値は、1件の具体にあります。

1件をこの6項目で書く

書式を決めてしまえば、あとは埋めるだけです。

①業種と規模(社名の代わりになる情報)

「自動車部品メーカー(従業員500名規模・愛知県)」。この粒度で十分です。

社名が分からなくても、相手は自社との距離を測れます。同じ業界なら「うちと似た会社を相手にしている」と分かる。それが社名の代わりをします。

県名まで出すと特定される場合は、「中部地方」に落としてください。

②何を、いくつ

「ステンレス製の治具部品、月200個の継続受注」。単発か継続かは必ず書いてください。

継続受注であることは、それ自体が信用です。 1回きりの仕事なら何かあった可能性があると読まれますが、3年続いているなら品質と納期が認められている証拠になります。年数を書けるなら書いてください。

③材質・寸法・公差

ここが一番効きます。「SUS304、板厚2mm、最大寸法400×300mm、公差±0.05mm」。

読んだ相手は、自分の図面と照らして判断できます。この1行があるかないかで、問い合わせが来るかどうかが変わります。

社名より、ここを出せるかどうかの方が実績ページの価値を決めます。

④納期と、実際にかかった日数

「図面確定から10営業日。初回は材料調達を含めて15営業日」。

標準と初回を分けて書いてください。初回に時間がかかるのは当然で、隠すより書いた方が信用されます。

⑤つまずいた点と、どう解決したか

この項目が入っている実績ページを、ほとんど見たことがありません。

「初回の試作で反りが出たため、加工順序を変更して解消」。たった1行ですが、読む側の受け取り方が変わります。問題が起きなかった案件ではなく、起きた問題を解決した案件だと分かるからです。

順調だった話だけを並べると、広告に見えます。

⑥自社が担当した範囲(どこからどこまで)

「材料手配から加工、検査まで。熱処理は協力会社へ」。

下請けの場合、ここを曖昧にすると「全部やったように見せている」と受け取られます。正確に書いた方が、後のトラブルも減ります。

許可を取りに行くなら、この順序

出せる案件は出した方が強い。取りに行く価値はあります。

先に契約書の条項を見る

聞きに行く前に、手元の契約書を確認してください。見るのは「守秘義務」と、情報発信や対外広報の制限に関する条項です。アトラボの記事も同じ順序を勧めています。

「工事写真や実績の第三者公開は不可」と明記されていれば、その案件は諦めてください。聞いても通りません。

明記されていない場合は、聞く価値があります。

誰に、どう聞くか

現場の担当者に口頭で聞かない。 担当者は判断権限を持っていないことが多く、「たぶん大丈夫だと思います」という返事で進めると後で揉めます。

実務上、この種の照会は購買か品質保証に回ります。だから最初から、こう書いたメールを担当者に送ってください。

> 自社ホームページの実績紹介について、貴社名を出さない形で、加工内容(材質・寸法・数量)の掲載可否をご確認いただけますでしょうか。掲載予定の文面を添付します。

文面を添付するのが要点です。 「実績を載せてよいか」だけだと、相手は身構えて断ります。実際に載せる文章を見せれば、社名が入っていないことがその場で分かります。

返事はメールで残してください。担当者が変わったときに効きます。

載せられないもの

許可の有無にかかわらず、出せないものがあります。

  • 図面そのもの。 部分であっても、加工後の形状が分かるものは出せません
  • 形状で製品が特定できる写真。 意匠権や、開発中の製品に関わります
  • 設備の銘板が読める写真。 設備構成から力量と取引先の見当がつきます
  • 取引先のロゴが入った梱包材や図面枠

写真の撮り方は工場と製品の写真を、社員がスマートフォンで撮るに書きました。

判断に迷うときの目安を1つ。その写真を同業の営業が見て、何か分かるか。 分かるなら出さない方が無難です。

3件書ければページになる

10件並べる必要はありません。3件で足ります。

選ぶのは次の3つです。

  1. 一番得意な加工の案件
  2. 難しかった案件(⑤が書けるもの)
  3. 継続している案件(②で年数が書けるもの)

この3件があると、得意分野・対応力・信用の3つが1ページで伝わります。件数を増やすより、1件あたりの中身を厚くしてください。

正直に書くと、1件を書くのに30分から1時間かかります。③の数字を図面や作業指示から拾う作業が要るためです。3件で半日は見てください。それでも、空のページを5年放置するよりは早い。

当社では実績ページを1ページ 30,000円〜(料金ページに記載)で追加しています。書式を決めて、現場から数字を聞き取るところまでを一緒にやる形です。

まとめ

直近1年で一番うまくいった案件を1件、この6項目で書いてみてください。1件書ければ、残りは同じ枠を埋めるだけになります。

社名を出せないことは、実績を載せない理由にはなりません。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。対応範囲と料金は料金ページにすべて公開しています。