製造業向けの人材派遣をしている会社で、会社サイトを作り直すことになった。マージン率を載せる義務があると聞いたが、今のサイトにあったかどうか分からない。載せるなら、どこに、どの数字を。 この記事は、その確認のためのものです。結論から書きます。載せるのは8項目。事業所ごとに、前の事業年度の数字で。自社サイトだけでなく、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」にも。 そして、毎年1回、数字を直します。
載せる8項目と、2021年からの「インターネットが原則」
労働者派遣法は、派遣会社に、事業所ごとの情報を関係者に提供することを求めています。厚生労働省のリーフレットに挙げられている項目は次の8つです。
- 派遣労働者数
- 派遣先件数
- 派遣料金の平均額
- 派遣労働者の賃金の平均額
- マージン率
- 労使協定の締結状況
- キャリア形成支援制度に関する事項
- その他の情報
提供のしかたについて、同じリーフレットは、2021年4月1日から、これらの情報は原則として常時インターネットで広く関係者に提供することになったと書いています。根拠として、派遣法第23条第5項、同法施行規則第18条の2第1項、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針が挙げられています。
労働新聞社の解説も、この8項目と、インターネットが原則であることを書いています。ただ、会社サイトのどこに、どう載せて、いつ直すかまでは書かれていません。この記事では、そこを書きます。
マージン率の出し方。前事業年度、事業所ごと
宮城労働局の資料によると、マージン率は次の式で出します。
> マージン率 =(派遣料金の平均額 − 派遣労働者の賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額
ここでいう平均額は、前の事業年度の、派遣労働者1人1日(8時間)当たりの派遣料金や賃金の平均で、人数を加味した加重平均です。毎年労働局に出している事業報告(年度報告)と同じ出し方だ、と同じ資料に書かれています。
つまり、新しく計算する必要はほとんどありません。年度報告で出した数字を、そのまま載せるのが基本です。
もう1つ大事なのが、事業所ごとという点です。大津と彦根に事業所がある会社なら、2つの事業所それぞれの数字を並べます。会社全体の1つの数字にまとめないでください。
会社サイトのどこに、どう載せるか
ここがこの記事で一番伝えたいところです。
この情報を一番見るのは、派遣で働こうとしている人です。リーフレットも、とりわけ派遣労働者に提供すること、としています。だから、置く場所は、登録を考える人が見るページです。
当社が勧める置き方はこうです。
- 派遣の登録・お仕事探しのページに「情報公開」の見出しを作り、8項目の表を置く
- 全ページの一番下(フッター)に「労働者派遣法に基づく情報公開」へのリンクを1つ置く
表の形の例です。
| 項目 | 大津事業所 | 彦根事業所 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 20〇〇年〇月〜20〇〇年〇月 | 同左 |
| 派遣労働者数 | 〇〇人 | 〇〇人 |
| 派遣先件数 | 〇〇件 | 〇〇件 |
| 派遣料金の平均額(1人1日8時間) | 〇〇,〇〇〇円 | 〇〇,〇〇〇円 |
| 賃金の平均額(1人1日8時間) | 〇〇,〇〇〇円 | 〇〇,〇〇〇円 |
| マージン率 | 〇〇.〇% | 〇〇.〇% |
| 労使協定の締結状況 | 〇〇 | 〇〇 |
| キャリア形成支援制度 | 下記のとおり | 同左 |
数字の表のあとに、キャリア形成支援制度(どんな研修を、誰に、いつ行うか)を文章で書き、最後に「マージン率には、社会保険料や教育訓練の費用なども含まれます」と添えておくと、読む人の誤解を減らせます。
PDFを1枚置くだけという形もあります。それでも提供にはなりますが、スマートフォンで開くと読みにくく、検索でも中身が拾われにくくなります。表にして、ページの本文として載せる方を勧めます。
当社が会社サイトを作り直すときは、業種ごとに載せなければならないものを先に確かめます。建設業の許可番号(会社サイトの建設業許可番号、更新したのに古いままになっていないか)、ISOの認証マークと同じです。会社のページの構成はホームページ制作・リニューアルに載せています。
毎年、いつ直すか
前の事業年度の数字を載せるので、事業年度が変わるたびに、数字も変わります。 古いままだと、何年度の数字かが分からず、読む人の役に立ちません。
だから、直す日を年度報告と合わせます。
- 年度報告の数字が固まった日に、会社サイトの表を書き換える
- 同じ日に、人材サービス総合サイトの掲載内容も書き換える
- 表の「対象期間」を新しい年度にする
面倒ですが、年に1回、同じ数字を2か所に写すだけです。担当者を1人決め、年度報告の担当と同じ人にしておくと漏れません。
人材サービス総合サイトとの関係
厚生労働省のリーフレットは、インターネットで提供するときは自社のホームページのみならず、人材サービス総合サイトを積極的に使うよう求めています。人材サービス総合サイトでは、8項目を直接入力して載せられます。
どちらか一方でいいのか、両方が要るのか。リーフレットの書き方からは、両方に載せるのが基本と読めます。当社も両方を勧めます。自社サイトの方は、登録を考える人が会社を調べたときに、その場で見られるからです。
判断に迷う点は、滋賀労働局の需給調整事業室に確かめてください。リーフレットに窓口として載っています。この記事は、会社サイトでの載せ方までを扱っていて、計算や協定の中身について法的な判断をするものではありません。
ご相談のときは、会社名とサイトのURL、事業所の数を教えてください。
まとめ
今日やることは1つです。自社の会社サイトを開き、「マージン率」という言葉が出てくるページがあるかを探してください。
なければ、直近の年度報告を出して、事業所ごとの表を作るところから始めます。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。
出典
- 厚生労働省「人材サービス総合サイトを積極的にご活用ください」(情報提供が必要な8項目、2021年4月1日からインターネットが原則、自社ホームページのみならず人材サービス総合サイト、根拠条文、都道府県労働局の窓口。2026-10-29に確認)
- 宮城労働局「派遣元事業所ごとの関係者に対する情報提供(資料)」(事業所ごとの情報提供、マージン率の計算、平均額は前事業年度の1人1日8時間当たりの加重平均)
- 労働新聞社「【労働法超入門】派遣マージン率等の情報公開」(2021-06-26)
