サイトの確認とは、表示の崩れや誤字を探すことだと思われがちです。 そこは制作会社の仕事です。 発注した側しか判定できないものが、別に3種類あります。 制作会社からテスト用のURLが届き、40ページ分を確認してほしいと言われた。何を見ればいいか分からない。デザインは綺麗に見えるので「問題ありません」と返そうとしている。この記事は、その手前で読まれることを想定しています。 見る対象を絞れば、1ページ5分で終わります。
技術面は、見ても直せない
公開前のチェックリストは検索すればいくつも出てきます。ただ、ほとんどが制作会社向けです。
発注者向けを名乗っているものもあります。ステップバイワークの「依頼者が見るべきポイント9選」は、タイトルタグ、リンク切れ、画面サイズの崩れ、社名で検索して出るか、フォームの送信先、画像サイズ、alt属性、ファビコン、閉じタグの9つを挙げています。
具体的で有用な一覧です。ただ9つ全部が技術面です。そして、ここに挙がっている項目は、発注者が見つけたとしても自分では直せません。直すのは制作会社です。
Web幹事のチェックリストは80項目あります。網羅性は高いのですが、総務担当が1人で40ページに対して80項目を回すのは、現実的ではありません。
だから範囲を切ります。技術面は制作会社に保証させる。発注者は、自分にしか判定できないものだけを見る。
発注者しか判定できない3種類
制作会社は、渡された原稿の中身を疑いません。 疑う立場にないからです。資本金が合っているか、その資格者がまだ在籍しているか、市外局番が正しいかは、社外の人間には確かめようがありません。
だから、ここは発注者しか止められません。
①数字
資本金、設立年、従業員数、売上高、料金、対応できる寸法、納期、保有台数、認証番号。
実際に公開後に見つかった例を挙げます。
- 資本金が増資前の金額だった ── 原稿を作ったのが増資の前だった
- 一級建築士の人数が、退職前の数字だった ── 制作期間中に1人辞めていた
- 保有台数が「5台」のまま ── 制作中に1台入れ替えて6台になっていた
- 対応できる最大寸法が、設備入れ替え前の数字だった ── 現場は新しい数字で動いているのに、原稿は前の設備のまま
どれも、制作会社には分かりません。
確かめ方は、原稿と照らすのではなく一次資料と照らすことです。資本金と設立年は登記事項証明書、資格者数は証書と現在の在籍名簿、設備の台数は固定資産台帳。原稿と照らすと、原稿が間違っている場合に気づけません。
料金を載せているなら、ここも忘れないでください。値上げした後の料金表が、旧価格のまま公開された例があります。問い合わせてきた相手は旧価格を前提に話を始めるので、最初の商談で値上げの説明をすることになります。
②固有名詞
人名、役職、資格名、認証の名称、取引先の表記、製品名、地名。
代表者名が前の代表のまま公開された例があります。交代の時期と制作の時期が重なっていて、誰も気づかなかった。契約書の記名者と違うことになるので、これは重い誤りです。
資格名も間違いやすい。「1級」と「一級」、「技能士」と「技士」。正式名称を証書から写してください。
取引先の社名を載せている場合は、相手の商号が変わっていないかも見てください。合併や社名変更があると、古い社名のまま残ります。相手のサイトを開いて確認すれば5分です。載せる許可を取っているかどうかも、この機会に確認しておいてください。
③連絡先
電話番号、FAX、メールアドレス、受付時間、休業日。
市外局番が1桁抜けていて、3か月誰も気づかなかった例があります。既存の取引先は名刺や過去のメールから電話をかけるので、サイトの番号を使うのは新規の相手だけです。だから社内では気づきません。
確認の方法は単純です。そのサイトに書かれている番号に、実際に電話をかける。 メールアドレスにも1通送る。これで終わります。
かけるのは社内の固定電話からではなく、携帯電話からにしてください。社内から社内にかけると、内線の設定で繋がってしまい、外から繋がるかどうかが確かめられません。
FAX番号も同じで、こちらは1枚送ってください。FAXを止めているのに番号だけ残っている会社があります。相手は送ったつもりで待ち、こちらには何も届きません。
1ページ5分で回す手順
40ページを、この順で回します。
- テスト用URLのページ一覧を印刷する(一覧が無ければ制作会社にもらう)
- 会社概要のページから始める。 数字と固有名詞が最も集中している
- 1ページを開き、数字と固有名詞だけを指で追う
- 疑わしいものに印を付ける。その場で調べない
- 次のページへ進む
- 全ページを終えてから、印を付けた箇所を証書・登記簿・名簿で照合する
4番と6番を分けるのが要点です。1つ見つけるたびに調べていると、40ページに到達しません。
2人でやってください。 数字は声に出して読み合わせるのが確実です。1人が読み、1人が原稿や証書を見る。1ページ5分、2人で40ページなら、2人×3時間半で終わります。
会社概要の数字が登記簿と合っているかは、新規取引の審査で最初に見られるのは、会社概要のページに書きました。公開前が、直す最後の機会です。
公開前に、権限と計測も確認する
ステップバイワークの9項目にある「フォームの送信先」は、発注者が確認すべき数少ない技術項目です。ここは踏襲します。実際にフォームから送信して、自社に届くかを確かめてください。
それに加えて、公開前にやっておく2つがあります。
権限の引き渡し。 ドメイン、サーバー、サイトの更新画面、アクセス解析。それぞれ自社のアカウントで入れる状態にしてください。公開後に頼むと手戻りになります。確認する項目は会社サイトを作り直す前に確認する、ドメインとメールの4項目にまとめました。
計測の設定。 問い合わせを件数として数えられる状態にしておきます。公開後に設定すると、公開前後の比較ができません。設定の手順はホームページから何件来ているか、自社で数えられるようにするに書きました。
当社は進め方のページのステップ4に「公開前に文章、数字、権限、計測を確認します」と書いています。この4つを工程に入れているのは、公開後に直すと費用と手間が増えるからです。
制作会社に保証させる範囲
発注者が見ないものは、制作側に明確に保証させてください。書面かメールで残します。
- スマートフォンとパソコンの両方で、崩れなく表示されること
- サイト内のリンクが切れていないこと
- 検索エンジンに登録されない設定(noindex)が残っていないこと
- 画像に代替テキストが入っていること
- 読み込みが極端に遅いページが無いこと
3番目は制作会社向けのチェックリストでも「見落としやすい」と挙げられている項目です。テスト中は検索に出ないよう設定してあるので、公開時に外し忘れるといつまでも検索結果に出ません。
この5つを保証させたうえで、発注者は数字と固有名詞だけを見る。そう分ければ、「問題ありません」と返すときに、何を確認した上での返事なのかが自分でも説明できます。
まとめ
テスト用URLの会社概要のページだけを開いて、数字を全部読み合わせてください。ここが一番密度が高く、誤りが残っていれば他のページも疑う理由になります。
表示の崩れや読み込み速度は、発注者側では判定が難しい。そこは制作会社に保証させる範囲です。役割を分けた方が、両方とも確実になります。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。公開前の確認は進め方の工程に入れています。
