展示会やセミナーで「自社サイトに来た企業名が分かります」という営業を受けた。月額は数万円。営業先のリストになるなら安い気もするが、判断がつかない。 先に立場を書きます。当社はこの種のツールを売っていません。 売っていない側から、仕組みと限界を書きます。 結論を先に言うと、来た会社の全部は分かりません。 分かるのは一部で、その割合はサイトによって変わります。この記事では、分からない側に誰がいるのか、入れない方がいい会社はどこか、契約前に無料でできる確認を2つ書きます。

「来た会社が分かる」は、半分の訪問について正しい

この種のツールは、実際に機能します。詐欺ではありません。

ただ、機能する範囲が限られています。 そこを知らずに契約すると、月額に見合わないことになります。

仕組みは、IPアドレスから会社を引いているだけ

サイトに誰かが来ると、アクセス元のIPアドレスが記録されます。ツールはそのIPアドレスを逆引きしてホスト名を取り、自前の企業リストと照合します。

らくらくログ解析は、この照合について「得られたホスト名を1つずつ目視調査することで、IPアドレスの保有企業を1つ1つ丹念に照合」していると説明しています。自動で全部分かるわけではなく、人が調べたリストに載っていれば分かる、という仕組みです。

ここから、効く条件が見えます。相手の会社が固定IPを持っていて、そのIPがリストに載っていること。 両方が成立したときだけ社名が出ます。

判別できる割合を、ベンダー自身が数字で書いている

精度の話は、売る側が自分で開示しています。

らくらくログ解析は「らくらくログ解析のWebサイトでは、トラフィックの4〜6割が企業判定され」ると書いています。売る側が出した数字で4〜6割です。

裏返すと、4〜6割は分からない。 これが実態です。

さらに注意が要ります。この4〜6割は、ベンダー自身のサイトでの数字です。 そのサイトに来るのは、BtoBのアクセス解析ツールを探している人たちで、会社のパソコンから業務として調べています。固定IPを持つ会社の割合が、はじめから高い。

滋賀の部品メーカーのサイトで、同じ数字にはなりません。 高いか低いかは、入れてみるまで分かりません。

判別できなかった方に、誰がいるのか

ここが、どの比較記事にも書かれていない部分です。分からなかった訪問を「ノイズ」として捨てる記事ばかりですが、捨てている方に重要な人がいます。

スマートフォンと自宅から見ている人

携帯回線からのアクセスは、会社名として判別されません。キャリアの回線だからです。

これが効いてきます。展示会で名刺を交換した相手が、その場でスマートフォンから社名を検索する。 帰りの新幹線で見る。この動きは全部、判別されません。展示会の後に何が起きるかは展示会で名刺を渡した後、相手は社名で検索しているに書きました。

自宅からの閲覧も同じです。決裁者が夜に調べることは珍しくありません。

固定IPを持っていない会社

らくらくログ解析は「固定IPを保有しているのは比較的規模の大きい企業が多い」としています。

ここが読者にとって一番重いところです。 自社の取引先が従業員10人、20人の会社中心なら、判別される割合は下がります。

逆に、元請けが大手で、そこからの閲覧を知りたいのであれば効きます。どちらを見たいかで、ツールの価値が逆転します。

プロバイダ名しか出ないアクセス

判別できた訪問の中にも、使いものにならないものが混ざります。社名ではなく、通信事業者の名前が出るケースです。

レポート上は「判別済み」として数えられることがあります。件数だけ見て喜ばないでください。 月に1回、中身を開いて、社名として読めるものが何件あるかを数えてください。

入れた方がいい会社と、入れない方がいい会社

比較記事は「入れない」を書きません。売る側が書いているからです。当社は売っていないので書きます。

入れた方がいいのは、次の両方に当てはまる会社です。

  • 取引先に従業員100人を超える会社が含まれている
  • サイトに月500件以上のアクセスがあり、そのうち何件かは提案につながる規模の商談になる

入れない方がいいのは、次のどれかに当てはまる会社です。

  • 月のアクセスが100件に届かない。判別率が何割でも、母数が足りません
  • 営業が1人か2人で、新規の訪問に割く時間が無い。社名が分かっても動けない
  • 問い合わせフォームの計測がまだ設定されていない

3つ目が一番多い。フォームから何件来ているかを数えていない状態で、来訪企業の可視化に月額を払うのは順序が逆です。 数え方は問い合わせは何件か。数え方を決めないと増えたか分からないにまとめました。

契約する前に、無料でできる確認が2つある

営業を受けた段階で、その場で契約しないでください。2つ確認すれば判断できます。

1つ目。無料トライアルで、自社サイトの実数を見る。 多くのサービスが2週間から1か月の試用を用意しています。見るのは「判別された件数」ではなく、社名として読める件数です。2週間で5社に満たないなら、月額を払う根拠が弱い。

2つ目。Googleアナリティクスで、問い合わせページまで来て送らなかった数を見る。 直近3か月分です。この数字が十分に大きければ、来訪企業を特定するより先に、フォームとページを直した方が早く効きます。

ここを見ずにツールを足すと、穴の空いたバケツに水を足すことになります。 判断の時期についてはサイトを作り直した効果は、いつ判断するかに書きました。

社名が分かった後に、やってはいけないこと

ツールを入れた会社で、よく起きる失敗があります。

判別された社名を見て、いきなり電話することです。

当社が見た例では、電話をかけた相手は検討している部署ではなく、採用情報を見ていた社員でした。「ホームページを見ていただいたようなので」と切り出され、相手は気味悪がりました。

IPアドレスで分かるのは会社だけで、誰が何の目的で見たかは分かりません。 同じ会社の中に、購買も、採用応募を考えている人も、競合の調査担当もいます。

使い方は2つに絞ってください。

  • すでに商談がある会社が、提案後にサイトを見に来たかを確認する。 追客の判断材料になります
  • どの業種からの閲覧が多いかを集計して、サイトの書き方に反映する

新規開拓のリストとして使うのは、効率が悪いうえに嫌われます。どの業種が見ているか分かったら、その業種に向けて対応範囲を書き直す方が効きます。書き方はBtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字にまとめました。

まとめ

今日やることは1つです。Googleアナリティクスを開いて、直近3か月で問い合わせページまで来て送らなかった数を見てください。

その数が月に10件を超えているなら、来訪企業のツールより先に、フォームとページを直す方が効きます。10件に届かないなら、そもそもサイトに人が来ていないので、やはりツールの前にやることがあります。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。

運営会社と記事の確認方針 / 公開制作事例と支援の具体例

出典

(IPアドレスの逆引きとホスト名の目視調査による判定の仕組み、同社サイトでトラフィックの4〜6割が企業判定されること、固定IPの保有は規模の大きい企業に多いこと)