会社のフォームと代表アドレスに、毎日いろいろなメールが届く。見積の相談、資料の請求、ホームページ制作会社からの営業、何かのセミナーの案内。総務の担当者が1人で見ていて、本当の相談への返事が翌日、翌々日にずれ込む。生成AIで何とかならないか。 この記事は、当社が自社の問い合わせで実際に回しているやり方を書いたものです。AIに任せるのは仕分けと返信の下書きまでで、送るのは必ず人です。

AIに任せるのは下書きまで。送信の権限は渡さない

この線引き自体は、新しい話ではありません。uravationの解説(2026年9月更新)も、「AIは下書きまで、判断は人」を核にして、問い合わせの種類ごとにAIをどこまで使うかを表にしています。定型の質問は下書きからテンプレートまで、料金や納期は下書きだけ、クレームは構成だけ。この整理はそのまま使えます。

当社が足しているのは、下書きの作成と、人による送信を別の工程にすることです。

当社の問い合わせ対応では、AIへの作業指示を、メールを読み、返信の文案をメールソフトの下書きとして保存するところまでに限定しています。送信のボタンを押すのは人です。AIの手順書の1行目には「メールを送信しない」と書いてあります。

ただし、手順書に禁止と書くことと、技術的に送信権限を外すことは別です。導入するサービスで送信の操作を無効にできるかを確認し、できない場合は自動送信の処理を組まず、人の確認を必須にします。指示文だけで誤送信を防げるとは考えません。

仕分けは、上から順に当てる

ここがこの記事で一番伝えたいところです。

中小企業の受信箱で多いのは、本当の相談より、それ以外のメールです。だから当社は、届いたメールを上から順に判定して、最初に当てはまった区分を採ることにしています。順番が大事です。

順番区分判定の目安対応
1テスト社内の人が動作確認で送ったもの。名前や会社名が「テスト」何もしない
2迷惑本文が無関係な宣伝や不審なURLの羅列。言語だけでは決めない何もしない
3対象外当社が受けていない業種からの相談お断りの文案(要確認)
4同業・営業送り主が制作会社や広告代理店など、売る側の会社。本文が営業や提携の提案営業向けの文案(要確認)
5資料請求資料の請求だけで、相談の中身が空何もしない(資料は自動で案内済み)
6地域外所在地が対応している地域の外と分かる地域外向けの文案(要確認)
7相談(情報あり)サイトのURLや会社名から、相手が特定できる返信の文案
8相談(情報不足)上のどれでもなく、相手が特定できない追加で聞く文案

順番に意味があります。たとえば、営業のメールにも「ご相談」と書いてあることがよくあります。相談かどうかを言葉だけで判定すると、営業メールにも相談用の文案を作ってしまいます。相談の判定を一番最後に置くのは、そのためです。

もう1つ。「要確認」と付いた区分は、文案は作りますが、送るかどうかを人が判断するものです。お断りや営業への返事は、文面より「返すかどうか」の方が大事だからです。

営業の見分け方も、AIに決めつけさせない書き方にしています。送り主の会社を調べ、本文が売り込みや提携の提案なら営業向けに分けます。同業の会社でも、実際の依頼はあり得ます。業種だけで相談を捨てないこと。ただし、アドレスが汎用の「info@」で名前が下の名前だけ、というだけでは決めつけず、調べても分からなければ「情報不足」に回します。本当の相談を営業として捨てる方が、損が大きいからです。

AIに守らせる、書き方の決まり

文案の中身についても、AIに渡す手順書に決まりを書いています。中小企業でもそのまま使えるものを抜き出します。

  1. 下調べで分かったことを、文案に書かない。 AIは返信の前に、相手の会社のサイトや地図を調べます。ただ、「御社のサイトを拝見したところ」と書くと、相手には調べられたことだけが伝わります。調べた結果は、文案ではなく、人への報告にだけ書く
  2. 専門用語を使わない。 相手が使っていない言葉を、こちらから持ち出さない
  3. 料金と契約の話は、聞かれない限り書かない。 一次返信で金額を出すと、AIが古い料金を書く事故が起きたときに取り返せない
  4. 宛名と署名を固定する。 会社名、名前、担当者名、連絡先。毎回同じ形にしておくと、人が確認するときに違和感に気づきやすい

1つ目は、AIに任せると特に起きやすいことです。調べた内容は文案に入り込みやすいので、当社は手順書に禁止をはっきり書いています。

取引先から預かった情報や、問い合わせの本文に入っている個人情報を、どのAIのサービスに入れてよいかは、別に決めておく必要があります。決め方は取引先から預かった情報をAIに入れる前に、契約書で確かめる6つの言葉と社員が使い始めた生成AI。先に決める3つと、後でいい6つに書きました。

始め方。最初の1週間

いきなりAIを入れなくて構いません。順番はこうです。

  1. 直近1か月に届いた問い合わせを、上の8区分に手で分ける
  2. 区分ごとの件数を数える。相談より営業の方が多いこともあります
  3. 「相談(情報あり)」への返信を、過去に送ったものから2〜3通選んで、見本にする
  4. 1週間だけ、AIに下書きを作らせ、人が直して送る。直した箇所をメモする
  5. 直した箇所が同じなら、手順書に決まりとして足す

uravationの解説は、下書きの運用を2週間試してからテンプレートにする、としています。1週間で十分な件数が集まらなければ試行を延ばします。日数だけで効果を判断せず、下書きを直した箇所と確認にかかった時間を記録します。

返事の速さが変わったかは、問い合わせに何時間で返せているか、ツールなしで測る手順で、入れる前と後を比べてください。件数の数え方はホームページから何件来ているか、自社で数えられるようにするにまとめています。

AIに任せないもの

最後に、下書きもさせない方がいいものを書いておきます。

  • クレーム。 何をどこまで認めるかは、会社の判断です。AIの文案は丁寧すぎるか、認めすぎるかのどちらかになりがちです
  • 金額や納期を約束する返事。 数字は必ず人が台帳や見積書と照らし合わせて書く
  • 初めての取引先かどうかの判断。 相手の会社が実在するか、取引してよい相手かは、AIの下調べだけで決めない

当社の運用でも、AIが作った文案をそのまま送ることはありません。人が読んで、直して、送ります。下書きを直す方が早いか、白紙から書く方が早いかも、実際の確認時間で比べます。

当社のAI初期設定・研修(50,000円〜、税別)では、こうした仕分けの表と手順書を、その会社の問い合わせに合わせて作ります。内容は生成AI導入支援に載せています。

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ご相談のときは、会社名とサイトのURL、問い合わせがどこに届いているか(フォーム、代表アドレス、電話)を教えてください。

まとめ

今日やることは1つです。直近1か月に届いた問い合わせを、この記事の8区分に手で分けてみてください。

相談が全体の何割かが分かれば、AIに任せる範囲も、任せない範囲も決められます。

この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。

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