取引先の購買担当から「御社の電話番号、ネットで調べたら前のが出てきました」と言われた。自社サイトは移転のときに直したはずなのに、なぜ古い番号が出るのか分からない。 自社サイトを直しても、外に出た情報は直りません。 会社の基本情報は、自社サイト以外の場所にいくつも載っています。そこは自分で手を動かさない限り、何年でも古いままです。 この記事では、BtoBの会社の情報が残りやすい場所を7つ挙げ、消す手順と、消せなかったときの扱いを書きます。作業は検索窓に自社名を打ち込むところから始まります。費用はかかりません。面倒なだけです。
自社サイトを直しても、外に出た情報は直らない
移転や電話番号の変更があったとき、ほとんどの会社は自社サイトを直して終わりにします。名刺と封筒を刷り直し、取引先に案内を出し、それで一区切りと考える。
ここに抜けがあります。 自社サイトは、自社の情報が載っている場所のひとつにすぎません。
取引先は、自社サイトだけを見ていない
相手が社名で検索したとき、画面に出てくるのは自社サイトだけではありません。求人サイト、業界団体の名簿、展示会の出展者一覧、転載されたプレスリリース。これらが自社サイトの下に、ときには上に並びます。
当社が会社サイトの作り直しに入るとき、着手前に社名と旧住所と旧電話番号で検索して、掲載先を洗い出す工程があります。自社サイト以外に10か所以上出てくるのが普通です。 経営者がその一覧を見て驚くのは、自分が忘れていた場所から出てくるからです。10年前に一度だけ出した求人、入会したまま使っていない団体の名簿。
実害が出るのは、与信と新規取引の確認
「古い情報が出ると印象が悪い」で止める記事が多いのですが、BtoBで起きるのはもう少し具体的な損失です。
電話が通じないことが起きます。 旧番号にかけた相手は、かけ直すより先に別の会社を当たることがあります。新規の引き合いは、そこで消えます。
与信審査でも効きます。相手の与信担当は会社概要を見ながら登記簿を取るので、サイトと登記は照合されます。そのとき検索結果も目に入ります。住所が2種類出てくれば、どちらが正しいのかを確かめる手間が相手側に発生する。この話は新規取引の審査で最初に見られるのは、会社概要のページに書きました。
求職者も見ています。求人サイトの古い掲載が残っていると、そこに書かれた給与や勤務地が現在の条件として読まれます。
探す場所は7つ。BtoBの会社はここに残っている
まず、検索窓に次の3つを順番に入れてください。
- 社名(正式名称。前株・後株も登記どおりに)
- 社名 + 旧住所の市町名
- 旧電話番号(市外局番から、ハイフン有りと無しの両方)
3番目が効きます。電話番号は社名と違って表記ゆれがないので、古い情報が載っているページだけがきれいに出てきます。 旧FAX番号でも同じことをしてください。
出てきたものを紙に書き出します。以下は、その結果として実際によく出てくる場所です。
求人サイトの掲載終了分
掲載期間が終わっても、会社概要のページがそのまま残っていることがあります。求人情報は検索に強く拾われるので、社名で検索すると上の方に出る。
当社が見た例では、サイトは新しい番号に直っていたのに、求人サイトの掲載終了ページに旧番号が残り、それが自社サイトより上に出ていました。 5年前に1回出しただけの求人です。
消したい場合は、そのサイトの問い合わせ窓口に削除を依頼します。アカウントが残っていれば自分で消せることもあるので、先にログインを試してください。
業界団体・商工会議所・組合の名簿
製造業と建設業の会社は、ここに必ず何かあります。組合の会員一覧、商工会議所の事業所検索、認定事業者の一覧。
厄介なのは、PDFで公開されていることが多い点です。PDFの中身も検索に出ます。そして団体側は、年に1回しか作り直さないことがある。
直すには事務局に連絡します。会員情報の変更届を出していれば名簿も直る、とは限りません。届は受理されたが、Webに載っているPDFは別の担当が作っていた、という分かれ方をします。電話で「サイトに載っているPDFも直りますか」と聞いてください。
公的機関の受発注名簿も同じ性質を持ちます。登録の仕方と、放置したときに何が起きるかは「滋賀+加工」で上位を狙う前に、無料で載れる名簿があるに書きました。
展示会・見本市の出展者一覧
出展した展示会の公式サイトに、出展者一覧が残ります。これが数年分、別々のURLで積み上がります。
ここが一番やっかいです。過去の展示会は、運営の窓口がもう無いことがあります。 主催が変わった、その回限りのサイトだった、事務局が解散した。見つからない場合の扱いは後述します。
展示会の後に社名で検索されることについては展示会で名刺を渡した後、相手は社名で検索しているに書きました。
取引先サイトの協力会社一覧とリンク集
元請けや大手取引先のサイトに「協力会社一覧」「取引先リンク」があると、そこに自社名と連絡先が載っています。
当社が見た例では、取引先サイトの協力会社一覧に旧社名が残っていました。 社名変更から3年経っていた。
これは7つの中で唯一、自分では直せません。相手の担当に連絡するしかない。営業の窓口に言っても伝わらないことが多いので、「御社サイトの協力会社一覧の、当社の表記について」と用件を明示してください。
過去のプレスリリースと、その転載先
配信サービスを使ったことがある会社は、配信元のページが残っています。さらに、ニュースサイトやまとめサイトへ転載されたものが別のURLで残る。
転載先は数が読めません。 配信元を直しても転載先は直らないので、ここは全部消すという考え方を捨てた方がいい。
地図サービスと検索結果の表示
Googleマップ、Bing、Yahoo!、Appleの地図。地図に載る業種なら、各サービスの管理ツールで住所とピンの位置を直します。工場と事務所しかない会社は登録していないことが多いので、確認だけして次に進んでください。
古い自社サイトのページ
見落としやすいのがこれです。サイトを作り直したとき、旧URLのページが消されずにサーバーに残っていることがあります。新しいトップからリンクされていないので社内では誰も見ませんが、検索エンジンは覚えています。
制作会社に「旧サイトのファイルはサーバーに残っていますか」と聞いてください。残っていれば削除します。
直さなくていい場所もある
全部直そうとすると、途中で止まります。触らなくていいものを先に外してください。
国税庁の法人番号公表サイトは、自分で手続きする必要がありません。 商号・本店所在地・法人番号の3つは、登記を変更すれば法務省から国税庁に連絡が行き、自動で反映されます。登記さえ直っていれば、放っておいて構いません。
他社が書いた記事やブログの中で自社に言及している部分も、触らないでください。相手の著作物です。事実と違う記述があれば連絡する価値はありますが、住所が古いだけなら放置でいい。
過去の受注実績として相手が載せているページも同じです。 「2020年に当社が施工」という記録に当時の社名が書いてあるのは、むしろ正確な記述です。消してもらう理由がありません。
消す手順。消せないときの順番
まず掲載元に直してもらう
相手のサイトに載っている情報は、相手が直すのが筋であり、一番早い。連絡するときは次の3つをまとめて送ります。
- 該当ページのURL
- 現在載っている情報(旧住所・旧番号をそのまま引用する)
- 正しい情報
「変更がありましたのでご確認ください」だけ送らないでください。 相手は自社サイトのどこに何が載っているか把握していないので、探すところから始まり、止まります。
ページが消えたのに検索結果に残っているとき
掲載元が消してくれたのに、検索するとまだ出てくる。これはGoogleの索引が残っているためで、Search Consoleの「古いコンテンツの削除ツール」で申請できます。ヘルプ上の現在の名称は「古いコンテンツの更新ツール」で、記事によってどちらの呼び方もされています。
要点は2つです。Search Consoleに自社サイトを登録していなくても使えます。 そしてサイトの所有者でなくても申請できます。 他社のサイトに残った自社の情報に使える、数少ない手段です。
ただし条件があります。ページがもう存在しない場合は削除、内容が変わっている場合は更新、という動き方をする。ページが生きていて内容もそのまま載っている場合は、このツールでは消えません。 先に掲載元へ依頼する必要があるのは、このためです。
どうしても消えないものは、新しい情報を上に出す
連絡先が分からない展示会サイト、返事が来ない団体、転載が広がったプレスリリース。これらは残ります。
ここで当社が勧めるのは、消すのをあきらめて自社の正しい情報が検索結果の上に来る状態を作ることです。会社概要を整え、社名・住所・電話番号を全ページの最下部に統一表記で置く。この2つで、社名検索の結果は自社サイトが占めるようになります。
古い情報は2ページ目に下がります。消えてはいませんが、取引先が見る範囲からは外れる。全部消すより、こちらの方が現実的です。
この棚卸しで分からないこと
検索して出てこない場所は、この方法では追えません。
紙の名簿、会員向けの冊子、ログインしないと見られないサイトの中。取引先の購買システムに旧番号が入っていると、検索では一生見つかりません。 これは請求書や注文書のやり取りの中で、相手に直接伝えるしかない。
作業の量も読めません。 当社の経験では10か所以上出てきますが、業歴や業種で大きく変わります。1社ずつ連絡して返事を待つので、終わるまで数週間かかることもあります。
この洗い出しは当社の作業範囲に入れていますが、自社でやれば費用はかかりません。 難しくはなく、面倒なだけです。先に自分でやってみて、連絡先の分からないものだけ相談する、という進め方で十分です。
サイトの作り直しと合わせるなら、ドメインとメールの確認も同じタイミングで行います。手順は会社サイトを作り直す前に確認する、ドメインとメールの4項目にまとめました。
まとめ
今日やることは1つです。自社名と旧電話番号で検索して、自社サイト以外に出てきたものを紙に書き出してください。
書き出した時点で、半分は終わっています。あとは上から順に連絡するだけで、1件あたり5分です。全部は消えませんが、取引先が最初に見る範囲は自分で変えられます。
この記事を書いた人
しがビズ(株式会社トリプルエッグ)
滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。
出典
- 国税庁「法人番号公表サイト」
(商号・本店所在地の変更は、登記の変更を法務省から受けて反映される)
- Google Search Console ヘルプ「古いコンテンツの更新ツール」
(サイト所有者でなくても申請できること、ページが存在する場合は削除されないこと)
